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あさかぜさんは見た

日記

01/19

Mon

2026

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10/02

Fri

2009

「鳥が飛んでいるんだよ。孤独な鳥が」
 と彼女は言った。
「そっちも雨なんだね。一緒だと、なんだか嬉しい」
 自分で言うならなんて陳腐な形容なんだろうと思うことも、彼女の口から出ると切に響いて静かに広がる。
 天気が一緒ならどうして彼女は喜ぶのだろうと不思議な気持ちでいる自分には、女心を理解する機微すらもない。
 電話口から聞き取れる彼女の声はいつも小さく、耳を澄ましていないと聞き取れないことがある。
 窓から見える外の雨は音すらも聞こえない。
 マンションの三十階から見える雨雲は、次々と目の前を通り過ぎる雨を落としている。
 眼下に見える車も人も小さすぎて、まるで砂粒のようだった。
 砂粒を掬い取るには、遠すぎる距離で、自分はただの傍観者だった。
 彼女と話しながら冷蔵庫の中を見る。
 ブルーベリージャムと、食パン二切れ、生卵六個、絹豆腐一丁、ベーコン三切れ、ビール六缶、牛乳一パック、無糖の炭酸四本、豚肉のバラ肉も残っていた。
 ペットボトルの炭酸を取り出し、開ける。
 炭酸が一気に抜ける音が一瞬して、はじける音が少しだけ聞こえてくる。
 直接はできないキスを電話口ですると、彼女は泣き出した。泣いているとも、わからないほど小さな声で。でも、自分にはわかった。
 人の声が聞こえないほどの高く静かな場所から、彼女の声を聞いている。
 午後六時を過ぎて、外が薄暗くなり、ビルやマンションの明かりがつきはじめる。
 街灯もその下を通る小さな人々を照らしている。家路へと急ぐ人々の波。
 開けたままの炭酸に口をつけることもできず、少しずつ炭酸の泡が勢いを衰えさせ始めている。
 眼下を通る知らない人たち。
 ここから叫んでも、声すら届かないだろう。
 炭酸がすべて抜けきったころ、彼女との電話は終わった。
 部屋の電気すらもつけずに話していた自分は、街明かりにうっすらと照らされていた。
 雨脚が遅くなっている。
 味気のない炭酸をようやく片手に持ち、街の光の粒を眺める。
 まるで街の雨を押し返しているようにも見えた。
「鳥なんて、見えないよ」
 ふと漏れそうになった独り言を、必死の想いで飲み込んだ。
 もう一度、冷蔵庫から炭酸を取り出して開け、今度はグラスに入れた。
 飲むわけでもなく、ただ眺めるだけのために。

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09/25

Fri

2009

つい、自分の感情から強く自分勝手なことを言い、責め立ててしまい、理不尽な傷を与えて友達をなくしました。

後に、メールで言われたことは「感性鋭く生きる」よりも「感情豊か」に生きたい、と書かれました。

正当性のある正論であろうと、人の気持ちを尊重しない言葉には、ココロは動かされないのだと。

まったくその通りでした。

その人のほうが、はるかに人のことを考えていた。
自分のほうが浅慮だった。
つまらない感情をただ押し付けただけだった。

芸術の根本にあるのは、「感情を豊かにさせる」ことにあって、「感性の鋭さを押し付ける」ことではない。
後者が主軸になってはいけないのだと、気がつかされました。

他人のことを鋭く指摘したからなんだというのだ。
動かせないのは、動かない人が悪いのではなくて、動かせない人が悪いのではないか。

未熟すぎることを痛感しました。

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09/24

Thu

2009

自分の作品を朗読してみましたが、
難しい。

味が出ない。
ぜんぜん臨場感がないな。

どうしたらいいんだろう。

リテイクしたいけれど、まずはどうぞ。
後でリテイクした音声をすりかえるかも。

http://39moon.seesaa.net/article/128740761.html

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09/18

Fri

2009

 その日は雨が降り続いていた。
 アスファルトを打ち付ける雨は、重みを帯びて、黒く染み付いていくようだった。
 少年は瞳を上げた。
 雨に濡れた体を気にすることはなかった。
 雨は止む気配がなく、さらに密度を増していた。
 雨の音が壁となり、他の音を遮断していた。
 ぽつりと取り残されたように少年は立っている。
 空は濃い鉛色をしたまま、色あせることはなかった。
 激しい雨が木の葉を打ち付けて、パラパラと鳴らし、アスファルトでは水玉が死に絶えていた。
 雨が花を打ちつけ、叩かれてうなだれるようにして、今にも地にひれ伏しそうだった。
 目も開けられないような雨の中、少年は空を見ようとしていた。
 コンクリートの建物を伝い、ガラス戸を伝い、雨は流れ込み濁流となっていきそうなほどだった。
 街はうねり、轟音を立てているようだった。
 少女が傘を持ち、足元はびしょ濡れで、少年に近づいた。
 傍に寄った少女は傘を少年にさしてあげて何かを言った。
 少年は少女の傘を振り払い、悲しそうにきつく顔を背けた。
 少女はびしょ濡れになり、しばらくうつむいていたが、傘を拾わずにびしょ濡れのまま少年から去っていった。
 少年は打ちひしがれたように、地に突っ伏して、拳をアスファルトに叩きつけた。
 拳が砕けそうなくらい、少年はアスファルトを殴り続けた。
 悔しそうに、恨んでいるかのように、憎んでいるかのように、怒っているかのように。
 激しい雨に少年が泣いているのかも、血を流しているのかもわからない。
 誰一人として、激しい雨の中で少年の気持ちに気を止めるものもいない。
 人が通りかかろうなら、自分の身を案じて、家に帰りたいと一心に思って足を運ばせている。
 ある大人が少年の傍へと寄っていった。
 大人は少年に何かを告げた。
 少年は苦痛にまみれた雄たけびのような叫びを張り上げて、両手でアスファルトを打ち、そのまま黙り込んだ。
 少年が立ち上がるまで大人はずっと傍に立っていた。
 大人は傘を少年に渡すことなく立ち去っていった。
 雨は止む気配がない。
 ますます水かさを増して、街は激流に飲み込まれようとしている。
 花も流され、少年は空を見上げた。
 雷鳴が轟いている。
 かろうじて近くの木に引っかかって残っていた少女の傘を少年は拾い、きちんとたたんだ。
 少年は雨の中を掻き分けるようにして歩き出した。
 少女が立ち去った方へと。

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09/18

Fri

2009

人間なんてフィルターはやっかいなもので、最初から「自分のしたいこと、起こって欲しいこと」を根底にもって、情報を操作している。
強欲に最初からまみれたものを「有益」だとか「損益」だとかいう。
違うな。情報を楽しんでいるかそうでないかでしかない。
あとは五感情報こそ真実。



よって情報や経済にゆれる人の心理も苦楽にある。
「売れない」?違う。「楽」を売ってないんだ。
鳥かごの中は虚飾まみれ。
真実なんてほとんどない。
思い込んでいるだけだ。
事実が集まり真実だと共通の認識をしている。
「楽」を取りたいから、真実だと思い込む。
詐欺師が消えない理由はこれだよ。



情報化社会と言うけれど、情報の膨大化によって個々人が分断されて、情報という共通概念で互いが繋がっているという錯覚をし、結局は精神同士の分裂が進んでいるのは、皮肉な反作用と言うしかないのかもしれない。



芸術家は職人でなければいけない。職人はたんたんと自分の技術を磨いていく。
理想とも言う。使命とも言う。衝動とも言う。
それらのどれとも似付かず、かつ近いものを背負って練磨する。
パフォーマンスと芸は次元が違う。
しかし、パフォーマンスのよいものが大衆には受ける。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。

気が付いたら他人からとても褒められる娘ができまして、人生が大きく変わりました。
この小さな可能性と向き合うため頑張って生きております。

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