この肉体が滅び去ったあとは、私は無に返るのだ。
もともと人間に生まれついたことでさえ、時として嫌悪し、どうしようもなく狼狽するのに、臓器提供なんて考えるだけで吐き気がする。
脳死状態になれば、私は死んだとみなす。
人間の生とは、その精神活動にのみあるのだ。その精神活動という意味あいにおいての定義は人それぞれだろう。
私が考えなくなり、私が何も描けなくなり、何も想像しなかったとしたら、私の存在は私にとって無価値だ。
早く殺せと思う。他人の定義や幻想や先入観の中に縛られて生きることほど苦痛なことはない。そんな現世は捨ててしまいたい。
その時は心のどこかで命乞いなんてしないさ。
早くやってくれたほうが、きっぱり地獄に堕ちれる。
私は地獄に堕ちて苦しみを理解するだろう。
そして自分の苦しみに慣れれば少しずつ耳を傾けるだろう。
「どうしてあんたは苦しいのか教えてくれないか」
迷わずそう聞くに違いない。
地獄を渡り歩き、聞き続けるのだ。
「殺したい?殺せばいいさ。もう俺は死んでいるのだから、どこに行けるのか楽しみでならない」
地獄ですら憎しみを抱き続けるものの憎悪を受け続けるのだろう。
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