きゅうきゅうしゃきゅうきゅうしゃ。
きゅうきゅうしゃきゅうきゅうしゃ。
おかあさん、
きゅうきゅうしゃだよ。
あかくてぴかぴかしてきれいだよ。
おかあさん、
おかあさん、
おかあさん?
みえないの?きゅうきゅうしゃがみえないの?
あかいきゅうきゅうしゃだよ。
おかあさんはみえないの?
おかあさん、おかあさん。
おかあさんは、
いつもわたしのみていることを
うそだというよね。
おかあさんは、
いつもわたしにちゃんとなりなさいっていうよね。
わたしはいつもちゃんとしているし、
わたしはいつもみたままのことをいっているよ。
わたしはうそつきじゃないよ。
うそつきじゃない、
うそつきじゃない、
うそつきじゃない。
おかあさんこそ、
うそをついているんだ。
おかあさんはうそつき。
わたしのことをうそつきといううそつき。
おかあさんのめはへん。
おかあさんはわたしとみているものがちがう。
おかあさんのめがおかしい。
おかあさんのめをとりかえたい。
めをとりかえたらおかあさんはもとにもどる。
わたしにまえみたいにやさしくしてくれるでしょ。
やさしくしてくれないおかあさんはこわい。
おかあさんのめがわるいんだ。
めがわるい、
めがわるい、
めをとりかえたい。
そんなめはいらない。
おかあさんのめはいらない。
おかあさんのめをとってやる。
めをとってやる、
めをとってやる、
めを。
めをめをめをめをめをめをめを。
そうしたらまたちゃんとあいしてくれるんだ。
だから、
めを、めを、めをめをめを、
トリカエテアゲルネ。
救急隊員が部屋に駆けつけると、母親らしき女性がガタガタ震えていた。
「あなたですか?通報してきた人は。しっかりしてください」
隊員の言葉に母親は怯えきって言葉を言えないでいる。
「あ、あああ、あああああ、あの子が」
女性の指差す先には血まみれの女の子が果物ナイフを持って薄ら笑いを浮かべていた。
果物ナイフからは血が一滴したたった。
救急隊員が「何があったんですか?」と聞くと、母親は答えた。
「あ、あの子が、き、急に自分の両目を、な、な、な、な、ナイフで抉り出したんです!」
きっと、
わたしがいけないんだ。
おかあさんがみえるものとちがうから。
おかあさんとみえるものがちがうと、
わたしはいけないこ。
おかあさんのめはいらない。
おかあさんのみているせかいはいらない。
おかあさんとちがうからいけない。
きゅうきゅうしゃきゅうきゅうしゃ。
きゅうきゅうしゃきゅうきゅうしゃ。
きゅうきゅうしゃはあかくてきれい。
これからはきゅうきゅうしゃみたいなきれいなゆめをみながら、
おかあさんのいうことをちゃんときけるこになったよ。
[2回]
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