ばあちゃんは六十近くになって水泳を始めて講師になった。
七十半ばでメニエール、それから数年でパーキンソン病を発症した。
今九十を過ぎて八十終わりから胃ろうをやって数年は経つのにまだ生きてる。
秋田出身で恐ろしいほど肌は艶々している。
そしてほとんどパーキンソン病で喋られなくなっているのに、まだコミュニケーションしようとしている。
農家の育ちだったということは親戚筋などの話からよくわかる。
庭に雑草が生えていたら目の敵のように、とにかく抜きまくっていた。
綺麗好きで、見た目にもこだわっていたことはボケる前からよくわかっていたことだった。
庭を見てもわかるように。
秋田出身のばあちゃん。
学べるところは本当に多い。
こういう生命力溢れる人が自分のばあちゃんで本当に省みるところが多い。
確か五年以上前に、庭にある西洋梨の木をシルバーなんちゃらの手伝いの人が短く切ってしまった。
そのせいで、三年以上は果実が成らない木になってしまったけれど、枝が伸び、また今年実をつけるようになった。
林檎の木は病気で幹から枯れてしまったけれど、梨は丈夫だ。
あんなに絶望的な、髪型で言うと坊主のような刈り方をされたのに、よくもそれだけ伸びたものだと感動すら覚えるものだった。
ばあちゃんが住んでいた庭には六十センチほどの草がぼうぼうと生えているのに、梨の木は立派に育っている。
他にも一メートルほどの花が咲いている。
本当に凄いや。
ばあちゃんの生き方は、絶望や希望などという、小さな考え方とはまったく別世界にいる。
だからこそ、合理的に、統計的に考えて、あなたは御仕舞いですよ、という次元とは別の場所にいるのだとわかる。
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