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あさかぜさんは見た

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2023

心臓の音は遅くなる

バクン、バクン、バクン、バクン、バクン、バクン。
心不全でも起こるかと思うほど早かった。
お腹の中に居た時から娘の心臓の音は耳が震えるほど波打っていた。
バック、バック、バック、バック、バック、バック、バック。
寝ている娘の胸に静かに耳を当て音を聞いた。
8か月が経ち、遅くはなってきたもののまだ早い。
深夜嫁の胸に静かに耳を当てて音を聞く。
バクッ、バクッ、バクッ、バクッ、バクッ、バクッ。
遅い。
これが普通の人間の心臓の音。
生きている時にしか聞こえない、生きている証拠の音だ。

生きようとする鼓動はいつも激しいのかもしれない。
心臓は情熱を持ち前へ進もうとする。
美しき姿だ。
体の中で海流が起こりどんどん生命を育んでいるのだろう。

運命はわからないが、いずれ娘より早く心臓の音は遅くなる。

彼女の胸は生きようとしている。
死にゆくものを前にして高く波打とうとしている。
美しい姿だ。

娘が最初に覚えた言葉は自分の名前だった。
鳴き声で自分の名前を連呼する。
そして2か月近く経ち、口癖のように自分の名前を言うようになった。
一文字欠けても言っている。
健気でかわいい。

よく静かだと褒められる。
よほどのことがないと人前でぐずったり泣き叫んだりしない。
褒められるのがわかっているのか、褒められすぎると後でご機嫌になる。
面白い子だ。
この子は見知らぬ人からかわいいと必ず褒められる。
生きているだけで素晴らしいのだ。
今日なんて「お人形さんみたい。本当に人間?」とまで言われたほどだ。

眩しいほどだ。
羨ましいほどだ。
ちゃんと大事にできるか怖くなるほどだ。
こんな父親ですまないと謝りたいほどだ。
いつか話ができるようになったら、沢山のことをお話したいけれど、退屈ではないか心配になるほどだ。
私はいつも自分の事しか言えないから、それでもなるべく沢山の話を聞きたいと思っている。
心臓が遅くなりやがて止まってしまうまで。

疲れてしまうようになってしまった。
流行病のせいなのか、年のせいなのかもうわからなくなってしまった。
だけれどお話をしたい。

それまでに面白いお話を用意しながら。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
45
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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