詐欺師というのは通常人間の信用を掴まなければ騙すことはできない。
例えば、大きな投資の話を持ちかけるとして身なりがよく言葉遣いが丁寧でよく相手の事情を知り上辺の利益を強調する。
その上で契約を良く読まないような相手に契約書にサインさせ、法的にも有効であることを主張する。
騙された相手が悪いのだ。
通常、言葉遣いが悪く、態度もでかく、人を馬鹿にするような人間を信用して一緒に大きなプロジェクトを組もうなどとは絶対に思わないだろう。
詐欺師はそのことをよく知っていて、相手の弱みをよく研究し、そしてよくつけこんでくる。
表向きは全面的に協力することを約束しているが、内容はすべて相手側ではなく詐欺師側に有利な条件が盛り込まれている。
全面的に協力するのは当たり前の話だ。
ここで言いたいことは、物事の本質は表面上の事だけではわからないということだ。
当たり前のことを言っているようだが、現実では騙される人間が後を絶たないことを見れば我が身に降りかかったのがわからないほど理解していないのだから救いようがない。
利権・利益というものが絡んでいる時、まず最初の段階がとても大事になる。
心理学用語ではフットインザドアと言って訪問販売の時、玄関を開けさせるのは大変だが開けたら室内に一歩足を踏み込ませて戸を締められないようにする。
そうして心理的プレッシャーをかけながら断れないようにとくとくと説得をする。
ここで大事なのは、あまり深く考える間を与えずに相手を得させることだけしか言わないことだ。
不利になることは、あったとしても決して喋らない。
経験がある人も多いだろう。
多くの場合、つまりニュースで見えることなど含めて、玄関の扉の話をしていることが多い。
どんなに詳しく語っていようと扉の装飾を懸命に解説しているのだ。
しかしその扉が開け放たれれば、足を踏み込まれ二度と閉められなくなる。
これが国家の利権問題に関わってくる事柄ならば、何十年と時間をかけて二歩目三歩目と踏み込み、最後には国家主権を奪うように手を打ってくる。
あとは国そのものが実質的には国民の手によって司られていると見せかければいいだけの話だ。
表面のことだけであれこれ言う教養のない国民ならいくらでも騙せる。
ましてや日本の国民の性質を見れば、集団を染め上げれば反論など勝手に消えていく。
つまりその集団が反論するものを自動的に排除弾圧していくからだ。
日本人はその点制御しやすい。
ただし、無教養である場合においてのみだが。
最近国家の未来は教育ではなく教養にかかっているのではないか、と考えている。
よく考え、よく鍛錬し、よく尊ぶ。誰かの未来を懸命に苦慮する。
これらのことをしっかりと考える人間が多ければ多いほど国は富む。
自分の私生活に置き換えて「私パンしか食べないしご飯の事関係ない」とか「アメリカ文化大好きだから別にいいし」なんて国家の利害のことを平気で語る浅ましい人間が増えてしまったら簡単に騙され、誇張でもなんでもなく奴隷に近い扱いをされるまで落とされるということをしっかり頭に叩き込んで欲しいと思うことしばしば。
この国に、ちゃんと「国民」がいることを願うし、この国がきちんと「国家」であることも願っている。
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