炎は最後に一瞬燃え盛ったかと思うと、ぱっと消えていく。
じいちゃんを見舞いに行った今日、前よりも息を吹き返した感じはしたが、反応はない。
しかし、魂の揺らぎを感じる。
家族とも、腹を割って話したことがないし、いつも長々と会話を交わしたことがない。
耳元で一言二言言って終わる。
それ以上、何を話せばいいのだろうと悩みながら口を閉ざす。
か細い息をしながら、じいちゃんはじっと何かを見ている。
「何か」・・・ふとじいちゃんの目を見ながら思い出した夢があった。
真っ白くまぶしい世界で、金縛りのように、泥の中にいるように、体が鈍く動かない。
頭では確かに体へと命令し、いつも自由自在に動かしているはずの体が動かない。
まぶしい光の中で目を開けていられないほど白いのだけれど、それでも目をつぶってしまっては体を動かせないと思い、真っ暗になると思い、必死に動かそうとする。
でも動かない。
そんな夢。
じいちゃんの目を覗き込むと、微かに揺れている。
魂のゆらぎを前よりも感じる。
言葉を交わさなくとも、「何か」を感じる。
言葉で表すことができない、魂の訴え。
人は皆塵。
この宇宙の中の塵に過ぎない。
この星でさえもそう。
この風さえも命で、この星さえも命。
光も、命。
息吹も、命。
魂も、命。
全ては生き続け、永遠に輪廻を繰り返す。
そこに、死も生もなく、ただ命しかない。
このようなことをふさぎこんでいる人の前で言っても傷つけるだけだろう。
人は皆、塵。
いつこの星へ返っていくかもわからない。
どのようなものも例外なく、形は変わっていく。
人の言うところの死も、また変化の一形態でしかない。
皆、死ぬのは怖いだろう。
皆、死を見るのは怖いだろう。
想いが積もっていればなおさらだ。
想いを失うのが怖いのだろう。
自分が存在した証を失うことは誰もが恐れる。
生きるとはなんぞや。
死ぬとはなんぞや。
何度となく立ち止まり、それを考え、生きることに執着し、欲望に幾度となく溺れて呆けることだろう。
答えが出たとき、何が見えるのだろうか。
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