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あさかぜさんは見た

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11/10

Fri

2017

あの日の殺意

5年前ほど、初めて他人で殺そうと思った人間がいた。本当の純粋な殺意だ。
今から思うと、恋愛感情のもつれで、冷静に考えると本当にくだらないことだけれど、あの日の感情は今でも忘れることが出来ない。
他に殺そうと思った人間は父親だ。
バットを持って寝室の前で何度か迷ったことがある。
もし起きてきて、目の前で僕を罵倒するなら、思い切り頭を殴ってやろうと考えていた。
でも、そうはならなかった。バットを持っている時、目の前に起きて目の前に現れ罵倒することはなかった。
父に関しては、三十代になったある日自分が泥酔して家に帰ってきた時、チェーンがかかっていて、静かに部屋を出たため父も家から出たものはいないと思ってのことだったのだが、当時の自分は家から追い出されたものと勝手に思った。
それだけ負の感情が長年蓄積していて、ついに爆発した。
母にドアを開けられた後叫び、寝室から出てきた父親を「どうして産んだんだ」と言って殴った。
十数年間ずっと心に思っていたことを初めて伝えた。ようやく、伝えられた。
自分は父には、この言葉こそ最大の親孝行だと思っている。
記憶のあるうちでは、生まれて初めて、心の底から思っている素直な言葉を父親に伝えられたのだ。
本当によかったと思っている。十五年ほどにもなっただろうか。
負の感情はようやく昇華されることが出来た。
自分の魂は歪みきっている。今でも心が急に不安になったり意味なく痛み出したりするのを感じる。一日中落ち着かなくてそわそわして潰れることもある。
これはもはや生涯直すことは出来ないだろう。
ただ、ここから見える光もある。
境遇が自分を小説の道へと導いた。
活字も大嫌いな自分が大嫌いだったものを好きになろうとしている。
不思議な運命だ。運命に魅入られて小説を書いている。
自分の書く小説は、そこらにあるものとは違って怪しい魅力がある。神の手の平で自分は踊っている。
だけど父のことが終わったと思ったら、今度はやはり「あの日の殺意と関係」と向き合わなくてはならなくなった。
人はつくづく因果からは逃げられない。
いつか決着をつけなければならない。
自分は創造を司っている人間だ。
破壊は性に合わない。
自分なりの決着のつけ方を、近い将来必ずつけていかなければいけない。
そのことを突然「飛んだ」バイトの若者で思い出さされるとは思ってもみなかった。
人には、いつもの様子が心の何かに深く突き刺さったりする。
きっと、運命のせいなのだろうさ。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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