わかっていることだけれど、改めて今の自分には自分が思い描いているほどの実力の百分の一も存在しないということは、優れた作品に触れ、対比してみて、なさが肌身に染みてくるのがわかる。
それはあたかも杭が己へと刺さり、そのめり込みごとに脂汗をかいて必死に焦る気持ちのようだ。死んでしまいそうだ。いやむしろ死んでしまいたい。今行おうとしているすべてのことが恥ずべきことのようにすら思えてくる。
なぜこのような気持ちを抱かなければならないのか。
ふとベランダから空へと走り出る妄想が何度も頭をよぎる。
「ああ、ちくしょう」
それが何に対しての落胆なのか、憤りなのか、焦燥なのか、わからなくなってもやもやと闇の霞を撒いて、どろどろと渦になる。
そして胸の奥に嘔吐感を覚える。
やらなければならないことはわかっている。
一度にできないこともわかっている。
コトリ。
コトリ。
此岸(しがん)で石を積み上げる。
その石は、至願(しがん)かはたまた・・・
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