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あさかぜさんは見た

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01/25

Fri

2008

資料集めのために版数の少ない本を買い求めた。
ネットでは高値がつきそうな本なのだし、実際ついているのだが、ふとたくさん買って高く売ってやろうかというよこしまな思いが頭をかすめた。
お金も手に入るし、いいじゃないかと、自分のふところ事情を思って考えたのだが、やめた。
もし自分がそうされたら、あまりいい気分はしない。
本は、それを大切にするものにこそ真価を発揮する。
投機の目的で本が売買されたのでは、本も作者も泣くだろう。
でも、お金は捨てがたい。

思えば、「やってはいけないこと(その業界においてのモラル)」と「商業資本主義(いわゆるカネ儲け)」というのは、いかにも危うい関係で紙一重の薄さで隣り合っているのでは、と自分が行いそうになったことで思った。
例えば文化的に優れた本がある。文化的に優れた映画がある。それらは思想的に、構成として、作品として、突出した可能性を持っているとする。
しかしそれらは時間をかけて噛み砕かなければ、もしくは教養がなければすっと見えてこない作品で大規模な利益は期待できないとする。
一方、エンターテイメントで構成された娯楽商品があるとする。この持続性は低く、一度出すと次は期待できないが、一時的には莫大な利益が期待できる。だが文化を壊し、真っ当で正当な作品がことごとく破壊され、真面目にやってきた人は涙を流す。

実際モラルなんて無視して金儲けに走ったものが得をする。嘆くやつはほうっておけばよい。稼いだもの勝ちだ。次のことも自由にできる。
はたして残ったものは何かといえば、まさにゴミの山。見向きもされない資源の山ができあがるわけだ。
いや、その中でも次に繋がるものが出来上がるのだろうか。
何が正しいのかはわからないけれど、少なくとも昔ながらの硬い考えでは金儲けの発想はできないということらしい。
じゃあモラルはどうなるのだろう。

誰かが破る。周囲は焦る。やがて渡りだした最初の赤信号を無視したものにつられてゾロゾロと信号無視をするものが多くなる。
「真価」とは、なにになるのだろう。

逆に、社会のそのようなあおりを受けて、これではいけないと立ち上がる人たちが、日の当たらない場所で活動を開始するのだろうか。可能性は低い。
なぜなら、やはり欲望に目がくらみがちなのが人で、第一に名誉欲や、物欲がくるに決まっている。
私が隔たった見方をしすぎなのだろうか。

そもそも仕掛ける側が弱腰になるのは、客にこびているからに他ならない。
売り上げを気にし、利益を気にし、何事も商業ベースで考える。
そこに価値のある文化は生まれるのだろうか。
類似作品が横行し、似たようなキャッチフレーズが飛び交い、もはや燃やす燃料すらも枯渇してきた。
資源を無駄遣いしてきた結果だ。
この世界ですらも「飽食」なのだ。

最近本の悪口はよく見かけるけれど、一生とっておきたい本というのはあまり聞いたことがない。
価値ある本が、消えていく気がしてならない。

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Comment

無題

  • ゆきさくら
  • 2008-01-26 13:37
  • edit
表の姿で書き込んでいます(笑)

私はどうも本を買うと処分できず、文庫本でもそれこそ30年もとっておいて、黄ばんでます。
引越しやら何やらでどうしても処分しなければならず、感動の薄かったものから順次廃棄しましたが、今でももったいなかったと思っています。
これはDNAみたいで、実家も家族それぞれの本ですごいことになってます。もしかしたら、希少価値の本もあるかもしれません。でもその本の山の中で私が一番ほしいのは、父方の亡き祖父が自費出版した自選歌集です。他の本はどうでもいい(笑)
もっとすごいのは母方の亡き祖父の書斎ですが、祖父が生前研究資料として見せてほしいと学者さんに頼まれても全くうけつけなかったということです。
愛着がありすぎるのでしょう。

もう20年ぐらいも前に買った本の作者さんが消えてしまったので、今どうしていらっしゃるのか最近検索してみたんです。とても好きなかただったので。そうしたら絶筆してらして、出版社から再販の話が出ても拒否して絶版。出版業界というものに、心底絶望してしまったのが原因だと、言われています。
そんなわけで、私が持っている数冊の本はネットオークションですごい金額になってました。

思わず、「売ろうか!?」と誘惑に駆られましたが、やっぱり思い直しました。
宝物を手放したら、きっとこの先の人生のどこかで後悔しそうで。

無題

  • ハヤブサ@管理人
  • 2008-01-28 04:17
  • edit
人は生活しなければならない。
生活するということはお金を稼ぐということですし、あればあったほど楽になる。
楽になりたいのは人間誰しも思うことです。
楽になるという価値基準を何に置くのか。
楽。
それは楽しみというものにもつながりますよね。

お金は大事。
でも、お金だけに執着したら人間非道になったりします。
なぜでしょうね。
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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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