紀伊國屋書店でソニーリーダーの販売員と話してきた。
そこで動いている年齢層は以外にも4・50代の人たちが多いという。
若い人たちは今持っている携帯・スマフォ・タブレットと比較して割と興味持たないみたい。
わざわざ読書するために端末まで購入して活字を楽しむ人たちは「本好き」の人たちだというのが見えてくる。
そしてさらに驚くことに「自炊」の問い合わせ、つまりファイル形式のこととか質問してくる人がいるらしい。
私はこの手の作業に興味があるのは若くもなく高齢でもない40代くらいなのかなと薄々思っていた。
現在リーダーストアはクレジット決済のみで敷居が高すぎる。
まだまだ気楽に買える場所でもないし、親しめるようなデザイン・サイト作りには程遠い。
例えばライトノベルを好むような若年層は携帯で楽しみ繋がり合う。
そこに本来の本好きの人たちである中年層と同じ考え方で一緒にできるはずがない。
私が感じていた「違和感」というのはどうにも、こういう「本好きの人たちが望んでいる本屋」と、「これから本好きでもなんでもない人たちを引き込んで楽しませていく開拓作業としての本屋作り」とのギャップだった。
これからまず最初に電子書籍はどこの層にターゲットを絞るかと言ったら、断然「本好き」の人たちかもしれないと思っている。
何せ、本を作る人たちやショップを取り囲んでいるスタッフがきっと今まで出版社で働いていた人や本を読み漁ってきた人たちに違いないと実感として思うからだ。
一番意思疎通ができて、実感も共有しやすい年代層から掘り下げるのが一番だ。
端末やストアによって年齢層も本の動きも違ってくる。
本好きの人たちは電子書籍に「文字の読みやすさ」や「本棚のスペース削減」や「検索の手軽さ」などをメリットに思っているだろう。
何せ老眼入ってくるし、本は莫大になってくるし、好きな本・ストーリー・文体へのこだわりだって出てくる年齢だ。
本好きは本を読み漁り、質も量も経験上選んでくる。
さて、若い人はそうじゃない。
エンターテイメントが欲しいし、共通の話題が欲しいし、楽しみを探し求めているし、誰かと繋がりたい欲求がある。
一人でじっとしていられないだろうし、黙って思索にふける若者なんてどうも違和感がある。
いわゆる本好きの人がバカにする携帯小説やライトノベルだって彼らにとっては優れた読み物だ。
うるさい制限なんてないし、勝手な想像、勝手な設定をどこまでも膨らませて奇想天外なことだってできる。
人生の教訓や説教や苦しみなんていらないし、とにかく何かの形で楽しみたいのだ。
だから活字よりも漫画やライトノベルや掲示板込みで楽しめる携帯小説なのだろう。
また女性ともなれば若い人は恋愛を楽しみたい。
子供を持てば実生活に絡んだものが少しずつ比重を占めるかもしれない。
中年ともなれば、「難しく考えずにすっと飲み込める単純明快なストーリー」を求めるかもしれない。
一口に「本」と言っても無数の考え方価値観がある中で、今一番の突破口になりそうな「本好き」の人たちに対して一体どんなアプローチをしているのか。
どうにも若い人が電子書籍専用端末に入り込むような余地はない。
電子書籍にはあっても、端末が求めていくものと折り合いがつくのだろうかと考えたら今のところなさそうな気もしてくる。
これから進化するスマートフォンで充分な気がしている私と感覚は大差ないだろう。
若い人は好きなものにしかお金は払いたくない。
色々なものを比較して実験して楽しみを得るというのは熟年の楽しみなんじゃないかとさえ思う。
きっと私が思い描いている電子書籍の未来と中年の本好きが捉えている「読書」としての電子書籍は大きく違うだろう。
若い人たちにとって「読書」という感覚は少し中年の人たちのものとは違うような感触を抱いている。
しかし、一番の開拓者となるのは、この「本好きの人たち」だろうと思っている。
聞いた限りじゃ若い人が開拓者になるとはどうも考えづらい。
なんせ「読書離れ」なんて言われているのだから。でも「テキストの消費量」はおそらく増えている。ネットで繋がりネットサーフィンをし、それだけでも莫大なテキスト量になってくる。読書とは違うところでテキストを楽しんでいる。もう、これだけでも感覚は違う。
電子書籍の夜明けとなる大きな鍵となるのは、この「本好きの人たち」の「本への欲求」をいかに充足させるかにかかっている。
端末が売れる年齢層からまず深く掘り下げていくのが一番妥当な攻め筋だと考える。
このことをもっと具体的に言えば「中年の欲求を満たせ」ということなのだ。
前々から言われているような気もするが、どうにも「声」が見えてこない。そこまでの段階ではまだまだないということなのかもしれない。
後にぼちぼちと若者が別の形で続く形になるだろう。しかもまったく違う形で盛り上げる気がする。
私は私で思い描いていることが少しずつ固まってきているので、少しずつ実効に移していこうと考えている。
そこには従来の「本」の姿や「読書」の形はないかもしれないなと思い描いている。
追伸:
考えるに、ソニーリーダーが電子書籍端末として非常に役立つ技術がある。
DAISYだ。
つまり視覚障害者のためにも幅広く電子書籍が触れられるようになると、今度は「教科書ツール」や「社内・企業広報ツール」や「学校広報・連絡ツール」などとしても幅広く進出できることになる。
得に「既刊されていない小さな広報誌」をターゲットにすることで、端末の利便性や活躍する場所はぐっと上がることになる。
そして視覚障害者のためのサイト・電子書籍作りのノウハウは必ず、非常に有益な知識となってくに違いないのだ。
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