どうにもこうにも、世界が変わって、仕事の仕方やあり方も変わってきて、今まで通りの働き方では明暗が分かれてくる状況となって数か月。
動くところはきちんと動いていて、僕のような人間は酒の量が増えていく。
北広島という場所に移り住んで三年くらい経ったのだろうか。
今まで北海道という場所を知らなかったので、休日は遠出が当たり前になっている。
実はこの周辺・・・この周辺という言い方も北海道独特なのだけど往復100kmは(車使っているせいか)近場の感覚だ。
まだ一日で帰ってこれる。
往復300kmで遠出かな。
襟裳岬まで行って1日で500km近くの距離を走って1日まるまる使ったので、途中食事や博物館や気になる建物を眺める時間も含めれば、500kmちょいが限界だろうと思う。
最近は酒蔵や味噌醤油の蔵元を訪ねることもちょくちょくあり、醤油や味噌の味の違いも楽しんでいる。
例えば「くるるの杜」というホクレンが直営している野菜直売所には近隣で作った味噌が置いてあるし、恵庭の道の駅にも恵庭産の野菜がある。
日本酒ならば栗山町にある小林酒造(全体的に甘みを感じるものが多い)。
ワインならば三笠氏にある家族経営でやっているいくつかのワイナリー。
小樽には田中酒造という日本酒のお店(水がまろやかなので口当たりもまろやかなものが多い)、全て国産ぶどうで作っているおたるワイン。
旭川に行くと男山や高砂と評価の高い蔵元もある。
北海道はワインも含めて意外にも酒所が多いのだが、ここら辺は直売ショップでしか売っていないものもあるので、旅の一つの楽しみになるかもしれない。
酒1つとっても色んな発見がある。
日本酒なんて10年前なんて、どれもこれも似たような味、なんて思っていたけれど日本酒らしからぬ味があって楽しめるようになった。
ワインには土の質が関わってくるし、日本酒は水の力が大きい。
湧き水もここ最近は飲み比べしていて、水の味の違いも知ることができている。
そんな中、おたるワインの直売所で偶然見つけた10月前後時期しかない発酵途中のベビーワインがまるでジュースのようで本当にはまった。
前回ミュラートゥルガウという白ブドウの品種で、ジョッキで飲みたいとガバガバ飲んでいたら店員さんが通りかかった作業着の人に「あちらの方10杯ほど飲んでいらして」と話すと、その作業着の方製造部長でお礼を言われてしまった。
仕込みの時期によって変わってくるけれどケルナーが美味しい下旬ぐらいにあると思うから電話で確かめてくれと言われ、ひとまず他の用事もあって行くとケルナーがあった。
まるで完熟した洋ナシとリンゴをミックスしたような味で甘く微発砲。この微発砲がまたよくて、また飲んでしまった。
やっぱり大量に飲んでいると目立つものですね。
店員さんとの会話も弾むし、知らなかった情報も教えてくれるし、何かといいこともあるもんです。
発酵という過程で糖分が二酸化炭素とアルコールに分解されるため二酸化炭素が液体内に残りピリピリした舌触りが残る。
ビールはわざと残すため、シュワシュワと泡が立ち続ける。
安物のワインでもきちんと作っているワインなら開けた後発酵するため、少しピリピリした舌触りになることがあるが、発酵しているからだ。
だから放置して置いたら味がどんどん変わってきて最後はぼやけてしまう。
旅をして酒を飲んで色々な話を聞いて、そこに住んでいる人たちの想いに触れていく。
醤油なんてスーパーで売っている大手のものしか知らなかったけれど、醤油の味に大きな違いがあるのを知ったのもここ数年の話だ。
ピーマンが熟すとパプリカのように真っ赤になることさえ初老を過ぎてから知った。
酒に溺れて沈んで死んでいくのも別にいいと思うこともあったけれど、いい酒作るために、これだけの人たちが関わって頑張っているのだと思うと、安酒にうつつを抜かしているわけにもいかないんだろうなと感じる。
20年以上前「旅をしながら稼いで色んなところを回りたい」と親戚の人に言ったら一蹴された。
今は実現できるだけの環境が整っている。
不思議な話だ。
北海道はまだまだ魅力の埋もれている土地だと思う。
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