何度も許そうと思った。
何度も愛そうと思った。
もう彼の否定語しか自分の心の中に残っていない。
笑いかけようと努力するのが精一杯で、彼の顔を見ただけで動悸がする。
親は子供のことを否定すべきじゃない。
どんなことがあっても、子供の名誉を奪うような言葉を発してはいけない。
仮にもそれが親友だったとしたら面と向かって言えないような言葉を、自分の子供に向けて発してはいけない。
子供は、何年も何年もその言葉を引きずり、積もり積もって完全に心を蝕んでいく。
彼は父親のことがあまり好きではなかったようだ。
きっとひどいことを言われたりされたりしたのだろう。
どのようなことをされたのか、私には話さなかったが、あなたはきっと祖父にそっくりなのではないかと私は確信している。
だからあなたは、私に向かってその恨みと苛立ちを向けているのだ。
そのような呪いのような連鎖は、私の代でおしまいにする。
私は私のような思いを次の世代には残さない。
私だけで充分だ。
いつまでも心を引きずって、否定されることに強烈な恐怖を抱き、いつまでもロクデナシで生き続ける人間を作るくらいならこの血を断ちたい。
私は家族というものがよいものとは到底思えない。
結婚したとして、親に嫁を会わせたくない。
あの父親が今まで発してきたえげつない言葉の数々が、私以外の人間に向けられると思うと虫唾が走る。
なぜあなたはそうなったのだ。
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