突如姿をくらませた大女優「藤原千代子」の晩年に、映像製作スタジオの所長であり、「藤原千代子」の大ファンの「立花原也」が、老朽化による撮影所取り壊しのふしめとして「銀映」をささえた「藤原千代子」の足跡を辿る映像を関西弁のカメラマン「井田」と作ることになる。
30年ぶりの再会となった「藤原千代子」に、所長は大事なものを渡す。
それはカギだった。
「一番大切なものを開ける鍵」
その鍵は彼女の女優人生の記憶の扉をすべて開く鍵だった。
この作品はシナリオの手法がおもしろく、女優の記憶の中に二人の人間が参加しつつ一緒に追体験していくというもので、シーンの切り替えが彼女の映画と半生に重ね合わされつつ展開されていく。
彼女が演じた映画に人生が重ねあわされるといっても、ひとつふたつみっつよっつといくつもの時代のシーンに重ねあわされて展開していくところが、とても斬新さを覚えた。
映像プロダクションの所長がことあるごとに告白しようとしたり、関西弁のカメラマンが突っ込みを入れたりしながら話は展開されていくけれど、登場人物はシーンや背景が変わっても配役が変わるだけで一緒だったり、担う役柄も変わるわけではない。悪役は悪役のままで出演とか、憧れの人は憧れの人のままとかなので、シーンや時代背景がまったく変わっても、混乱することなく進むことになる。忍者になったり姫になったり色々切り替わるけれど記憶の大冒険活劇とでも言えるでしょう。
時間の流れが彼女の映画出演の順にされているゆえに、彼女の片思いの男性への気持ちも時間順に進んでいく。
普通の描き方で彼女の純愛物語が展開していったらおもしろくなかったかもしれないけれど、ユーモアがあったりシーンの組み替え方がおもしろいので苦痛もなく一時間半最後まで楽しめる。
絵の描き方も浮世絵風だったり現代風だったり彼女の映画のシーンに合わせて変えている。
でも個人的には最後のオチがなあ・・・生々しすぎるので興ざめしてしまうというか、ちょっと想われた男からすれば切ないぞと、思ったのであります。
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