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あさかぜさんは見た

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07/16

Fri

2010



千葉真一というアクション俳優がいまして、最近で一番有名なのは「キル・ビル」服部半蔵役が有名でしょうか。
現在の20代にはもうなじみのない俳優さんになってしまいました。
千葉真一が出ているこのドラマの歌詞なんて「寺山修司かよ!」って突っ込みたくなるほど影響されている。
当時の時代には時代を象徴する強烈な存在があった。
ずっと「インパクト」ということを考えていて、千葉真一は印象が残っていた。
寺山修司もそう。

私は千葉真一をNHK2007年大河ドラマの「風林火山」板垣信方役で強烈に知ったのですが元々はアクション俳優。
アメリカではサニー千葉として活躍していた筋金入りの役者なのですね。



千葉真一という役者、見ての通り「動き」に「凄み」があります。
何かの格闘ゲームのように敵がゾロゾロ出てくるっていう。
まじめに考えたら突っ込みどころは満載ですが、いいんです。
今の若手の役者さんでこれだけの凄みが出る人ってなかなかいないんじゃないだろうか。

あ、先ほどの寺山修司でタモリのモノマネを思い出しました。



この話の中でとても面白いことを言っている。
「戯画化」「戯画=カリカチュア」のことなのですが、

「タモリはパロディストとはちょっと違うのではないか。タモリっていうのは戯画化されたものを描く天才なんじゃないかと思う。彼はそれと同時にコミュニケーションというものを否定している。そのコミュニケーションの先に何が来るかっていうのを予期してない甘さはあるけれども、コミュニケーションを打破した後に何が来るかっていうのに敬意を表している」

一つのアンチテーゼとしてこの問いかけは凄く面白い。
コミュニケーションを打破するコミュニケーション。

私たちにおける「芸」というものは「劇画化」「写実性」が求められる。
それをどのような表現法においてなしえるかの違いでしかない。
このタモリの寺山修司のモノマネは思想、口調、雰囲気を見事に写実している。
千葉真一が風林火山の大河ドラマで討ち死にするところなんて必死に抵抗しながら辞世の句を読み上げるけれど、敵は普通は待ってくれない。
敵将が近くにいたら介錯してくれるかもしれないけど、雑兵は待たない。でもちまちまと延ばす。
しかしその一つ一つの動きにおいて、噛み締めるように訴えかけてくるものがある。

で、前置きが長くなりましたが、どうしてこんなことを色々考え出したかというと「インパクト」ということを言われずっと悩んでいたわけです。
今「告白」という映画が流行ってますね。
小説における「告白」は三分の一くらい読んでやめてしまったのです。
どうしてかっていうと、他の人の感想は暗いとか後味が悪いとかあるのですが、そういうことではなく描写における人間心理っていうものに「?」が浮かんだわけです。
つまり「憎しみを告白し、自らの犯罪を訴える時、いつまでも機械的に平坦でいられるか」ということなのです。
その点において強烈な作者の恣意を感じたわけです。
登場人物が人形のように完璧に動くというか、作者の手のひらで動いているのがはっきりと見えてくる。
それって「人間描写」じゃないよ、って思っていたところに「告白」を知った友人から「インパクトがあるよね。最初の告白の場面で復讐するのにあれを使う。それって物凄い復讐方法でしょ。陰険だし。本当に憎んでいる。相手の一生に関わることでしょ。とにかく復讐を達成しようと思っているのがそれでわかる」と言われちょっと否定したものが納得できる形で肯定され衝撃を受けたわけです。
つまり「作品におけるキーワードがあり、そのキーワードがインパクトとなり、インパクトのあるキーワードがあることによって、話題性が出る」ということです。
その明確なキーワードが伝わっている。
その点においては確かに言われてみれば「告白」は成功している。

ずっと悩んでいたのですが自分は作品における意図や意思をきちんと「キーワード」として「インパクト」として強烈に与える次元までは到達していない。
千葉真一の演技におけるインパクトには到底及ばないし、タモリの寺山修司における戯画化された写実性には到底及ばない。

昭和の音楽80年前後あたりを聞くと古いし映像を見ると古臭さを感じるけれど、妙に安心するものがある。
人情味ってものが画面からにじみ出ているのだなとしみじみ感じた。
現代における話題性ってものは、とても刺激的なもので構成されている。
それが「売るための手段」とでも言わんとばかりに。

自分は人間をちゃんと描いて小説という立場を守りたいなとは考えているけれど、こういう売れ方や支持の前にひどく気持ちが揺らぐ瞬間がある。
迷って、進めなくて、今の自分の甘さにも打ちのめされるし、何よりもすべて放棄したくなるほど苛立つ。
これらの紹介したものは深い観察力によって成り立っている。
今の作品は観察をしなくても情報をより集めて話を作り上げる。
そんなものが支持されていることに対してジレンマが生まれるわけです。
それと同時に自分自身の観察眼のなさにも打ちのめされるわけです。
まだ全然足りない。足りなさ過ぎる。

「人間て言うのはさ、冗談か本気かわからないギリギリのところで生きているんじゃないかしら?」
松田優作、探偵物語より。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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