時折行っている居酒屋の店主と親しくなり、わかさぎ釣りに誘われたものですから、行ってまいりました。
わかさぎ釣りも初めてですが、私、釣りそのものをしたことがなく釣り初体験でもありました。
遠くまで出るのかなと思ったら意外に近場にわかさぎを釣るスポットがありまして、茨戸川なのですが、札幌中心部から一時間も経たずに行けるので遠征せずとも手軽に行けるのはびっくりしました。
メンバーは居酒屋の店主と居酒屋常連3人と私で5名。
ドキッ! 男だらけのワカサギ釣り大会!
ってことで気温マイナス10度、急に100m先さえも見えなくなる雪に見舞われながら、8時半ごろ到着。
業者さんが河の上にテントを張っていて、そこを予約して中に入って釣るという形なんですね。
道具は「釣りバカ」と言われる常連さんの1人が5人分全て用意してくれていて、餌も釣り針も竿も撒餌も網もたまに氷の淵に針が引っかかった時に外す専用の長い棒も全部あって、初心者講習を受けながらわかさぎ釣りをするという絶好の条件でした。
外は猛吹雪でビニールテントが激しくバタバタを音を立てておりましたが、結構頑丈で風も入ってこないし、外から中に入ったら眼鏡が曇るくらいあたたかく、普通にダウンで黙って座ってても平気。
天上についた水蒸気が凍って風で揺れるたびに雪のように降ってくる状況の中、釣り糸をたらして釣り上げておりました。
最初針が服に引っかかったり、餌の蛆虫のことを「サシ」っていうみたいなんですけど、サシをハサミで半分にして5つついている針につけていくのを「かわいそう」と思ったりしましたが、少しずつ慣れてきて、情けなど一切なくなっていく気持ちの変化を体験しましたよ。
中にはチーズ(味?)なんてのがあったりして、確かにチーズの匂いがしました。
釣竿を垂らして定期的に上へ引っ張るようにして揺らすといいらしく、恐らく餌が生きているように魚に見せかけるためにするのでしょうが、この揺らす行為が上手くできないと魚の食いつきが悪くなったりして、名人の見よう見まねで頑張りました。
午前中は勢いよく連れたのですが、午後になると途端に渋くなり、ほとんど釣れなくなりました。
と言っても、午前中には結構沢山釣っており、最終的には1kg以上は獲っていたと思います。
棒の間に引っかけてバケツに落とすのですが針ごと落ちるのに注意して皆入れました。
「ほんと、釣れない時はあれだけ頑張っても20匹とかありますからね」
と言っていたので、釣れた方なのでは、と思っております。
午後2時ごろにはお店について、その場で天ぷらに。
その他、なす、行者にんにく、まいたけ、常連が持ち寄ったものなどをいただきました。
野郎が集まって釣ってきた魚をつまみに昼から酒を飲み明かす。
何か妙な高揚感がありました。
特に自分で釣った魚をその場で調理して食べるという最高の贅沢が、いつにも増していい気分にさせたのだと思います。
テレビを見て言いたい放題の中高年の姿を見て、「ザ・居酒屋」といいますか、世の中のサラリーマンの姿を見ながら、ふとネット言論と重なったりして。
閉鎖的な空間だから言いたい放題できるけれど、普段はそんな変なこと言わない人たち。
こういう場所で息抜きしながら働いているんだろうなぁと感じると同時に、なにせ今回は一緒に沢山のわかさぎを釣り合った同士のようなものですから、遠めで見るのとは少し違った感覚になり、
「大事なのは本人が知っているものが真実であるかよりも、本人が大事に思っていることを見つめるべきなのだ」
と感じたのでした。
そりゃあ人間ですから多少苦痛に感じるような言い草もあったりするのですが、小説家ってもっと人間を可能な限り平坦な目で見つめることをしないと、本来の人間の姿を書くには程遠くなるなとその時痛感したものです。
それと同時に本音の飛び交う空間の中にいて、人の言うことなんて「居酒屋談議」と同じなのだから、それほど真に受ける必要はないし必要なものがあるのなら取り入れればいいだけの話なんだとも思いました。
人間、皆偏見の塊。
むしろそれが人間。
その偏見の中にこそ人生があったり・・・というか、ほとんど話の合うことなんてテレビのことなので、マスメディア情報が中心になるのですが。
そんな虚実と自分の人生という実があいまって個性を作り上げている。
接待とかよくしてたって人は酔ってても気配りが細かかったし、青森出身の人は口は悪いんだけど方言という以上にウィットがあって全然嫌な感じはしなかったですし、釣り名人は人当たりがよく純粋に釣りが好きで釣りが好きな人も好きみたいな感じでしたから楽しかった。
特によく感じたのは、皆大人になると若者だときつく言ってしまいそうなものを、よくユーモアを織り交ぜて喋るということ。
一歩言葉の使い方を間違えればひんしゅくものの内容も、ユーモアのある言葉の選び方で切り抜け話し合うという空間には自分のレベルの低さをひしひしと感じたものでした。
それって相当色んな差し迫った場を経験してないと、角を丸くしていくことは難しい。
一日中充実した時間でした。
ちなみにお店の中は少し肌寒く、ぐいぐいとお酒を飲んでも酔っ払わなかったのが家に帰るとあったかかったので一気に血管が開き酔いが洪水のように攻めてくるのを体験しました。
気温差には注意ですね。
わかさぎ臭みもなく大変美味しかったのですが、これが沼だと臭みが出るそう。
面白いものです。
流れの中にいたほうが臭みが出ないのは人間も一緒だなと。
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