まあ、たいしたことでもないのかもしれませんが、去年11月ごろに右下の親知らずを抜きまして、先日ようやく左下の親知らずを抜きました。
下の親知らずは両方とも横に生えておりまして、抜歯ではなく摘出という形で歯を6つほどに分割いたしまして少しずつ取り出すという具合であります。
前回同様抜いた歯もおみやげとしていただきまして、ただいま少し具合が悪いです。
なにせ口があまり開けられず、噛み方も工夫しないと傷口が傷むので、食事にも当然気を使わなければならず、若干むくんだ顔で過ごしながら人生最後の恐怖に耐えた喜びもあまり出てこず、経過は良好ですと言われほっとしているところであります。
なにかと集中力が散漫で小説もまったく手がつかずにいたのですが、進まないと、という意識だけが空回りし、お金をいかに稼ごうかという焦りに追い回され、明日の数百円が結構生活の分かれ目という具合で、仕事になどもちょこちょこ出ておるのですが、例えば疲れてきたり慣れてきたりすると場所へ移動し、そして帰宅というサイクルを繰り返す、いわば「点と線」の生活になってくることにふと気がつきまして、京都に住む人間が京都の文化に興味をあまり持ちづらいのはこのせいなのかなと考えてみたりもしておりました。
そこで、売れもしない、あまり読まれもしない純文学のネタなどが思い浮かんでしまい、「電子書籍で京都のことを書かないか」と誘われたものの、そっちで売れる自信が皆無に等しく、これは素直に文学賞に投稿し、落ちたら年末近くに無料で公開するという段取りのほうがいいような気がしておるのです。
前にも書いたような気がしますが、ふと恐怖を感じるのは、お金に追われだすと文化もクソもないわけですな。
そういうのは心に余裕があって初めて感受性というものが生まれてくる。
明日生活どうしようとか、病気したら治療費出さなきゃいけないとか、ストレスを軽減させるための娯楽への羨みとか、私などは本などに割くお金が必要なのですが、その分の捻出とかなかなかうまくはいかないものだなと、以前よりも結構なペースでウィスキーの瓶を空にさせているわけです。
まあ、理屈ではわかりつつも理屈道理に行かないのが人の心でして、そういう簡単な理屈すらも通せない心情を素直に述べると「言い訳」という具合で余計にのしかかってくるわけです。
こうして人は「制限」を数多く感じたり、何かをしようにも出来ないことが数多くあったりすると、やがて自分は「不幸」だと感じてくるわけですね。
まあ、私、今そんな不幸だと思ってないんですけどね。
しかし「頭を使うのが億劫になってくる」という感覚がなんとなく掴めそうで、そうなると「感情的に物事を考えて、そこから理屈付けたほうが、自分としては納得がいく」となるような気がしてきて、この世の中が「直情的劇場」と「理論的劇場」の2つによって成り立っているのではないかとも思えてきて、はてさて、日々の生活に追われるものは知識を得るのも大変で、世に関心を持つ時間などはなく、関心を持っていたとしても「情報」として処理するしかない有様。
それが一体なんの役に立つのか、明日の生活などほとんど変わらないじゃないか、しかも悪くなる一方。
なんと国民の4割が投票に行かないという有様。
多くて1割が何かの事情で行けないとしても、3割もの人が政治をまったく身近なものとして受け止めていないのではないかとも思えます。
うん。
だって、声を上げても無視されるのなら、もういいやって気持ちにもなりますものね、少なくとも私はそう。
特に毎日が精一杯だったり、今の私のように心身が必ずしも良好ではない場合なんて声をあげるのさえ億劫。
「どうせまた同じだよ」の連続が、やがて絶望になる気が致します。
ところで「親知らず」ってwikiさんによると、「赤ん坊の歯の生え始めと違い、多くの場合親元を離れてから生え始めるため、親が歯の生え始めを知ることはない。そのため親知らずという名が付いた。」ということらしいです。
「親の心子知らず」なんて言葉も思い出したのですが、よく「親元を離れれば親のありがたみがわかる」と親戚の方々などに言われ続けてきたものです。
何もしないで面倒見てくれるのは親ぐらいしかいない、そのありがたみがよくわかるだろう、ということなのだろうと理解しているのですが、こっちに来てから面倒は見てくれなくとも結構知り合った人たちに温情受けていたりして、なるほど人も捨てたもんじゃないよなぁとしみじみ「ご縁」というありがたみを感じています。
「親孝行」という言葉はなかなか難しく、それぞれ解釈や親への気持ちの返し方は違うのでしょうが、私自身はきちんと活躍すれば、それで恩を返したことになるんじゃないかと勝手に考えています。
と、まあ、親知らずを抜き、ぐだぐだと親と子と生活のことなど考えてみましたが、実は次の小説のアイディアだったりするのですな。
3月末までには書き上げたいものです。
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