全文(官邸HPより)
司馬遼太郎が後世の人へ託した強い願いが込められている。
小学校の教科書にも掲載された名文章だけれど最初に読んだ時、店先で嗚咽しそうなほど込み上げてくるものがあり、本当に涙を抑えるのが大変だった。
それだけ元気をくれるし感動するし、何よりも優しく語りかけてくる。
「人間は自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている。」
いつしか自分への傲慢が他人を見下すことになっていないだろうか。
私たちは自分の中に思い上がったものを持っていやしないだろうか。
自己を確立し「たのもしさ」を備えた人間になるということはどういうことなのか。
「思いやり」「優しさ」「いたわり」とはどういうことなのか。
懸命に考え抜いて、自己満足で終わってはいけないのだと自分で軌道修正していく。
いくら外だけこぎれいにしていても、内側が汚ければ、化けの皮ははがれてしまうものだ。
文末にはこう書かれている。
「私は、君たちの心の中の最も美しいものを見続けながら、以上のことを書いた。」
人間が最も持ちえる美しいものとは何だろう。
中には「洪庵のたいまつ」という話もある。
その冒頭の一文だ。
「世のためにつくした人の一生ほど、美しいものはない。」
自分に厳しく節制し、他人に優しくあり、よく助ける。
いやいや、それだけでは到底足りないだろう。
人は一生を通して自分なりの「たのもしさ」を作っていかなければいけないのだと改めて感じた。
きっと人々の「たのもしさ」の先に「よい日本」を司馬遼太郎は見ていたに違いないのだ。
「たのもしい人々」が作る「たのもしい日本」になることが、司馬遼太郎の願いを叶えることでもあると私は思っている。
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