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あさかぜさんは見た

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05/20

Fri

2011

アリス チャンピオン

アリスさん『チャンピオン』の歌詞

現在知っている中で「人の半生」を描いた詩の中では最高峰です。
当時は高度成長時代、日々拳闘し続けるようなサラリーマン戦士たちの心を強烈なボディーブローのように抉り、激しい共感を得て大ヒットしたというのですが、私は当然その頃は生まれてません。
よくモノマネなどで歌われるので知っていたのですが、改めて歌詞を見て、自分がモノカキの端くれとなり、この歌詞がどれだけ優れたものかがじわりじわりわかってきています。

何回でも繰り返したいのですが、これだけの文字数で人の半生や背景まで描くというのは、そう簡単なことではない。
汗に見えるものを「涙」と置き換えたり、わずかな震えを「老い」としたり、あしたのジョーを彷彿とした人もいたのではないだろうか。

テーマを捉える上で一番大事なのは「脱線しない視点」なのですが、動きの中に込められた感情を捉えていく第三者の視点に徹底することで、チャンピオンを見守っている人の気持ちも同時にありありと浮き出ています。
この歌詞は同時に見守るものと見守られるものの二人の感情を一気にこめているのですね。

詩の魅力は饒舌ではないからこそ語りえる世界観が一番なのであって、なんでもかんでも文章のようにべらべらとしゃべってしまうことではない。
正岡子規が提唱したような「写実性」が優れている作品には憧れを感じます。
何せ30歳でこの歌詞を書いているのだから、自分の中では目標となるといいますか、これ以上のものがなんとかできないだろうか、など様々な感情がわきあがってくるわけですな。
最近の歌詞や小説にも言えることなのですが、人間らしい「ゆらぎ」が薄かったり触れ幅が大きすぎたりします。
やたらと応援ソングが多かったり、小説で言えば作者の都合のいいように物事が動いていたりと、違和感覚える。

人間らしい「ゆらぎ」とは「制御できない感情」「出していなくともあふれ出てしまう想い」のことを言うのですが、それを強烈に見つめる視点を持ちえるのは芸術家にとって必須なのかなと思うわけです。
上辺だけの気持ちや言葉だけでは、やっぱりここまでの詩は、なかなか出来上がらないのではないかと痛感します。



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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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