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あさかぜさんは見た

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11/24

Sun

2024

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08/24

Mon

2015

墓参りが終わると夏の風は影を潜めていた。
 日差しは夏のままだったが、肌に優しい冷たい風が夜には流れるようになった。
 サヨリは少し出てきたお腹の肉をつまみながら「そんなことないよー。全然痩せてるってー。サヨリがデブだったらほぼほぼみんなデブになっちゃうんだから、やめてよねー」と言っていた友人を思い出しながら、横になっていた体をアイナに重ねた。
「暑いよー」と体をよじらせるアイナに「私ってそんなにむさ苦しい?」と冷たく聞くと「今日どうしたの? 様子おかしいよ」といつものように微笑をむけた。
 いつもアイナは優しい。怒ったところを見たことがないし、正直本心は何を抱えているのかわからない。
 それでも最初の理解者はアイナだったし、サヨリが男を愛せないことを受け入れてくれた。
 黒い墓石は鏡のように晴天に浮かんだサヨリの肌を映しこんだ。
 サヨリはその日、背中からアイナが優しく包み込んでくれる姿を墓石の中に陽炎のように見た。
 手を伸ばそうとした時アイナの姿は消えていた。
 ただ、もどかしい。
 線香臭い部屋。若くして死んだサヨリの母が仏壇から同じく微笑んでいた。
 アイナはスカートから伸びる足をうっすらと開き、窓から吹き付ける柔らかな風を受けていた。
 少し汗ばみベトリとしているのを、サヨリは指で這うように確認していた。
「くすぐったいよ。サヨリ。ねえ、くすぐったいってば」
 畳の上で足を泳がせるアイナの上に覆いかぶさったので少しだけ自由を束縛しているような気持ちを覚えた。
 そのまま、すっと手を太股へと上げていくと余計に汗ばんだ肉の感触が手にへばりついてくる。
「サヨリ、私、怖いよ」
「え?」
 二人の関係が進むことになのか、それともサヨリの存在が怖いのか、聞いてしまったら全てが壊れてしまいそうで口を閉ざしてしまう。
 サヨリは母の生前の衝撃的な告白を思い出した。
「私ね、あなたが欲しかっただけなの。だからお父さんと、どう接していいか、いまだにわからない。感謝はしてるけど、私にとっては難しいことだから」
 十三年前の当時、中学三年生だったサヨリには理解できない言葉たちだった。
 アイナとは、危うく、成り立っている。
 その危うさの正体もわからず無性に悲しくなってアイナの唇を噛むと母の香りが一瞬し、ぞっとした。
 アイナの唇からは血が出ていたが微笑んだまま憂いを帯びた目で白い肌が近づき頬に唇の血を塗りつけた。

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08/24

Mon

2015

真夜中の街路樹を傘にして走っていた。
 小清水には走る習慣などなかったが体調不良の検査結果を医者に「運動不足も影響していると充分考えられます」と言われてから、どのような悪天候でも走るよう心がけ一ヶ月が経っていた。
 まだ本降りにはなっていなかったが「いつ本格的に崩れてくるかわからないな」と小清水は思った。
 走るコースは決めていて、毎日同じコースを走っていた。
 その日は霧雨が熱くなりかけた顔にも降り注いでいて、自然のシャワーを浴び冷却材代わりにもなっていた。
 まだ日の照っている頃は人通りも多いが夜になると人の姿がまったく見えなくなる。また、メインの道路から一本逸れているため車通りも少ない。
 そこで小清水は途中で妙な影を見つけた。
 うずくまり、波打つように背中を震わせている女性らしき影だ。
 最初は酔客が家路の途中で嘔吐でも繰り返しているのかと考えたが、姿だけ見ると咽び泣いているようにも見える。
 通常の酔っ払いは支離滅裂で前後不覚な装いだが、それとも違う。
 具合が悪そうだ、介抱してやらなければ、と考えた小清水は一瞬周囲を見て誰もいないことを確認してから声をかけた。
「優しいんですね。私なんかに声をかけてくれて」
 女のしっとりとした声に謙遜しながらも小清水は鼻腔を思い切り開いて臭いを嗅いでいた。
 汗のせいか、少し生臭くも感じる。
 ただその臭いが、今薄暗い中でも街灯に照らされうっすら光るように映えるうなじの汗から香るものだと思うと小清水は興奮を覚えざるを得なかった。
 それも若い女だ。
 心配を装いながら体に手をかける。
 ぬめっとした感触が手に広がった。
 汗? いや、もっと粘り気のある汁。
 濡れたアスファルトにところどころ水溜りが出来つつある。
 木々の葉にたまっていた雫が少しずつ垂れて時折小清水の頬を打った。
「タ、タスケ、テ、ク、ク、クレ、マ、スカ?」
 ほとんど聞き取れないようなか細い声で女に話しかけられる。
 白い手がすっと首元に絡みつき、女の開けた胸元が瞳に飛び込んでくる。
 透き通りすぎている。
 葛餅のように透けて血管が見えている。
 これが若い女の肌か、と長年見てこなかった光景に妄想を膨らませ疑問を持たなかった。
 突然の女の口付けの後、ぬめりとした体に覆われ、男は少しずつ意識を失っていった。
 倒れた瞳を横に向けると、濡れて広がる水溜りの向こう側から無数のナメクジが向かってきていた。

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08/24

Mon

2015

そろそろ、いい頃合だ。
動いていこう。
自分の人生に対するケジメでもある。

いい風が吹くだろう。

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08/22

Sat

2015

何故負の情報をここに書くか

ええと、ちょっと前から伝言ゲームという検索ワードでだいぶこちらにおいでなさっている方多いと思いますが、そのほとんどは私のようなドクズが書いているとは思いもよらず、日記を読むにあたり大変困惑し、舌打ちでもし、ちょっと最低みたいな気分を抱いて去っていく方がほとんどだと思います。
そしてこの記事を書いたところで過去のアーカイブに埋もれ、将来少しずつ変わってくる自分が、この記事を書いた気分とも一致しないかもしれないという人間の生活や運命そのものも鑑みながら現段階における自分の主張を述べておきたいと思いまして。
あの、すいません、そんな必要ないと思って読んだ方に一言申し上げておきますが、この場所は一応個人過ぎるブログであり、たとえ公人となったとしても、わたくし自身のありのままの姿、むしろ汚い部分を見つめる場所でもありますので、あくまで記録としてもおおいに生涯使わせていただく所存でございます。
ところで、突然すぎる、そして他人にはホラとも取れる内容を書きますけれど、私は間違いなく上に上がっていける人間でございます。
そして、恐らく30年後ぐらいにはテレビで何らかのまとめ番組が組まれるかもしれません。
テレビがあるかどうかってのは置いといて。
ほとんどの本、テレビ番組における「偉人」は「編集された理想像」であります。
たとえ立派な事ができて、聖人君子のような真似が紹介されたとしても、徹頭徹尾善人であり続けられる人間は、私はまずいないと考えております。
そのような時に、例えば私が有名になった時に、絶対人々が勘違いしないように、ここに「編集されたクズっぷり」ってのを書き記しておきたいと考えているわけです。
その理由は絞られております。
「俺でもできたんだ。てめぇらごちゃごちゃ言い訳してるんなら許さねぇぞ」
ということと、その逆。
「誰でも、こういう場所に這い上がることができる。可能性を狭めているのは他人でも環境でもなく、ただ自分だけだ」
ということを身をもって世の中に知らしめたいがため、超ダラダラとやっているわけです。
でもですよ?
私、先ほども申し上げたように絶対上に行けるんです。
だって今ライバル次々と脱落しているんですもの。
もう愉快な思いと同時に、色々同情すらも及びもつかぬ気の毒なことが多々起こって、この分野から去っていくわけです。
そうなると、私が勝つに決まってるじゃないですか!
若い世代も沢山上がってきているけれど、どうせほとんど脱落する。
もうわかるもの。
ここに骨を埋めたがるヤツって、まずいないことに。
ほとんどすべての人は承認欲求のためにやっているってことに。
だから、みんな脱落していくし、「職業」として捉えるから食えないことに気がついてやめていく。
これ、「職業」じゃないんだよ。
自らの生に対する最後の、最も強い葛藤の表出なんだ。
みんなやめる。
みんな去る。
この世界が何かもわからずに。
夢だけ抱いているならさっさと去れ。
この世界では英雄は絶対生まれない。
ただ命をおろし金でこすり続けて、そのおろしたものを表現にぶつけるやつにだけしか、この世界の価値は見つけられない。
だから、頭狂ってていいんだよ。
それくらいがいいんだよ。

これは「職業」じゃないから、僕は一生「自称作家」でいる。
だってさ、その才能を信じ続けられた人って自分しかいないんだもの。
つまり信じ続け練磨する人間も自分しかいないんだ。
わかったかい?

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08/20

Thu

2015

怒りと憎しみの後に残るもの

以前私は人を憎んでいると書いた。
私は世に生きるクズの一人で、私は精神の正常さがどこにあるのかわからないまま生きてきた。
一日一回以上は他人からの皮肉や嫌味や罵倒を受けて15年以上も過ごして来た。
特に成人してからやられれば多少の防御策は講じられただろうが、思春期の浅い時期からやられてきたから、だいぶ歪んだ精神を持って生きてきた。
「当て付け」という矛盾と理不尽の中で過ごして来た。
そして今も歪んでいる。
歪んでいる人間には「小説」というフィールドはとても都合のいいものなのかもしれない。
たぶん私は酒がないと生きられない。
数々の負の感情、それを呼び起こさせるものを思い出してしまうと、もう止まらない。
酒のようなもので止めるしかない。
一度思い出すとほとんど寝るまで怒りや憎しみの感情に捉われてしまうから、特に昼間に運悪く思い出してしまったらやばい。
昼間でも酒を飲むか、ただぼんやりゲームをするかのどちらか思考を麻痺させる方法を取る。
普通の人間はどう生きているのかわからない。
狂うというほどでもないけれど、負の感情に捉われると自分が無価値な人間に思えてくる。
そうなると他者の価値など、どうでもよくなる。
私は他者を当て付けに殺す人間の気持ちがなんとなくわかるような気がする。
ただ、そのような人間は「心に完全合致する理解者」がいないと助けられないから、わかると言っても助けられないのだが。
そういう時は人を遠ざけたい。
誰かに心底かまって欲しい気持ちと、関われば傷つけてしまうし傷つけられるという二重の意味で後悔することが多いから葛藤する。
安易にアドバイスなど受けようものなら過去がぶり返してくる。
「ホームラン打って来い」と同意の言葉を人にもっともらしい言葉で投げかける人間がいるが、そういう言葉は人を傷つけるだけなのだ。
それが簡単に出来たら人類は絶対に苦しまない。悩まない。憎しみすら持たない。
認め合い、平和な世界が訪れている。人と人とは愛し合えるはずだ。
それなのに、何故こうもすれ違いわかりあえず、踏みにじったり踏みにじられたりしなければいけないのか、そのもっともらしい理由から聞きたいものだといつも思う。
だが負の感情の後にいつも残るものは灰。
虚しさだけだ。
この途方もない虚しさを引きずるくらいなら、最初からなるべく負の感情は捨て去った方がいい。
可能な限り、できるだけ少しでも。
何のためにもならない。誰のためにもならない。
恐ろしいほどに自己中心的な事情のためだけに存在し続ける感情だから。
ただ、負の感情はある意味創作のエネルギーにもなっている。
そして誰かを言葉少なめに理解する大きな強みにもなっている。
このことがある意味私の人生を大きく決定付けているし、これからもそうだろう。
生かすも殺すも、自分次第なのだ。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
45
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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