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あさかぜさんは見た

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05/04

Tue

2021

壤晴彦丹田発声ワークショップ(その6(終))

本当に新宿はひっきりなしにサイレンが鳴っている。
ほとんどが救急車の音なのだけれど、朝から晩まで誰かが運ばれている。
ススキノでさえ、それほど聞かなかったのに。
異様な街だと思うのは慣れていないからだろうか。
むしろ「珍しいことではないし」と思うようになってはダメなんじゃないだろうか。

3月28日、日曜日。
相変わらず眠れない。3時間も眠れなかった。
朝6時に酔った体を起こしてコンビニに出かける。
近くのマクドナルドの従業員入り口に背の高さほど積まれた納品を見ながら「1人でやるのか2人でやるのか、大変だな」と思いながらコンビニでサンドイッチと追加の酒を一本だけ買い部屋で食す。
その日は昼12時からのレッスンだったけれど、題材で読んでいた「勧進帳」を見たい人はビデオを流すと言うので11時からサロンに集まることになった。
意味が分からないと固まる。
だから意味をクリアにするために難しい言い回しも細かく説明してくれたため、普通に聞いたらわからない歌舞伎の台詞も理解しながら見ることができた。

最後の仕上げとして先日やった対面形式の読み上げ。
皆の読み上げを聞きながら自分で読めないところがあるか再確認。
壤先生が人に何を指摘するかを聞き耳立てながら、あとどんな顔して聞いてるんだろうと鋭い眼光を眺めていた。
弁慶と富樫、互いに一回ずつ。
緊張はしたけど随分と細かい指示が入ったため、重点的に良くない場所が改善されていった。
最後富樫をやったけれど、すっと力が抜けて自然体で初めてできた。
そして、「いいねぇ。よくなったよ」と褒められたのだ。
来た甲斐があったというもの。

最後終わってからみんなでお酒を持ち寄ってサロン内で小さな打ち上げをしたけれど、その時にも「なぁに、上手いじゃない。(札幌で)劇団でも持ってるんじゃないのぉー?」なんて言われて本当に嬉しかったし自信も持てた。
言われたことを自分の体で表現できたというのが一番大きい。
つまり「指示通りに表現できる」ってことだ。
自分の癖なんていくらでも出せるわけだから、人の表現しようとしているものを汲み取れるのは、役者としてとても大事なわけで。
「いやぁー、自分一人だけ違う畑の人間何で凄く緊張しました」
「普段何を?」
壤先生の隣にいた補佐の男性が僕の横に座っていたので聞かれる。
「調理師です」
あくまで音楽か役者か、関係者なのだと思い込んでいるためか、
「調律師?」
「いえいえ。調理師。料理作る人です」
と答えると周囲も「え?」というリアクション。
「どうしてここに来られたんですか?」
そりゃ疑問にも思うでしょう。
だって調理師が壤先生に学んだからって調理現場ではあまり生きてこないから。
理由を述べると皆聞いていた。
実際いつ収束するかわからないコロナ事情。
先が見えないってのはまさにこのことなのだ。

実は差し上げたお酒、サロンの冷蔵庫に保管してあって「これは美味い」と言ってくれて、そのことも心の底からホッとした。
北の錦のあらばしりは自信を持って他人にお勧めできる酒だ。
当然周囲にも振る舞ったため、すぐなくなったのだけれど、振る舞うとわかっていれば2本は買ったのになぁと思った。
急遽決まったプチ打ち上げなのでしょうがないことながら。
あらばしりを飲んだ左隣に座っていた若い子が飲んで言葉をため込むように
「これ・・・めっちゃ美味しいです・・・」
と感嘆していた。
今までお酒を飲んで見てきた中で歴代ナンバーワンのリアクションではなかろうか。
自分の作った物ではないにしろ、北海道のもので感動してもらえて嬉しかった。
その方プロの声優さんで、ちょうどアマゾンプライムで見ていたアニメの重要なサブキャラをやっていらっしゃってLINEの連絡先も交換。
「こやつ、同じ臭いがする」
と感じ、いい酒をどんどん送りつけてやろうと決心した。
酒飲み仲間。
友達になりたいと思った。
なってくれるみたいだから、北海道から愛を込めて贈っていこうと思う。
道民として地元の魅力を発信できるのはこの上なく嬉しい。

自分で買ってきたストロングゼロ3缶空けて、質問したいこともできた。
演技って言うのはどうしてもエゴが出てくるし、どうしても自分が認められたいというものと戦わないといけない。
何故って他人を演じているのに自分が出るのだから、この相反する他者と自己という演技上の矛盾をいかにして解決するのかが、演技者の根本に関わってくると考えている。
その上で、例えば「役どころとしてどうしても受け入れられないのは自分の中に問題があるのでしょうか」と質問すると、「ミラーボールみたいに人には色んな側面があって、自分の中にもそれがあるから」との答えだった。
人には様々な側面がある。
それが少しわかる年になってしまった。
なるほどと、深く頷く。
ちなみにもう一つ帰り際に気になってたことを質問した。
「先生。出世するコツってありますか?」
「運ですね」
達人を以てして言わしめる「運」なる存在とは説明が非常に難しい。
実力があったとしても埋もれる人間は沢山いる、という意味なのか。
人のコネを作るのは出会いであり、人の輪で人は作り上げられる、という意味なのか。
意図せず運命の導きのような偶然が重なり、そこに引き込まれるようにいた、という意味なのか。
望んだ通りの人生など望めず、主役と脇役との分際はハッキリ出る、という意味なのか。
その道に関して器用な奴と不器用な奴がいて、心身ともに不一致が起こる、という意味なのか。
具体的に「運とは何ぞや」は非常に難しい問題だ。
でも、壤先生曰く「運」と間髪入れずに断言されたことが自分にとって、全くもって面白いことで、少し清々するところがあった。
(壤先生は大嫌いな言い方だが)ダメだったらダメで、クズらしく生きればいいか。才能ないんだもの。・・・なんて気持ちが生まれた。
本当に鳴かず飛ばずで一喜一憂して精神が崩れるような人間だから。

最後の日まで養成所の子がついてきてくれて、雨が降っていたから長話も外でなんだからと、ホテルの部屋に連れ込み、自分の話ばっかりして、挙句の果てに人生で唯一人を殺そうと思った時の話なんかしたりして、「人を殺そうと思っている時の目ってこんなんだよ」なんて絡んだりして、酔っぱらった時のダメな癖が出て、帰り際地下鉄に下る階段で泣いてしまったりして、滅茶苦茶だった。
人を憎むにもかなりの力が必要だ。
酔っぱらい過ぎて自分のことを押し付け過ぎた。
この世界のことは演技の事ではあんまり役に立たないから、彼のこれからの人生に対してほとんど無駄になることを、自分だけの想いで押し付けてしまったと反省している。

そういえばスクエアエニックスのショップがホテルまでの帰りにあって、そこでチョコボをプレゼントされた。
「これ見て僕の事思い出してください」
と言われたけど、その言葉はとても告白チックだ。
R君。君は姉御肌の女性にモテるだろうさ。


3月29日、月曜日。
日曜日に帰ろうとは考えたけれど、余韻に浸りたく月曜日にずらした。
朝早く起きて少し東京観光でもしようと思ったけれど、案の定うまく眠れなかった。
ホテルでチェックアウト時間ギリギリまでグダグダしてしまった。
旅先で困ること。
他の人はどうかわからないが、「野菜不足」に困る。
炭水化物ばかりになってしまって、野菜をふんだんにとるとなると、ジュースくらいしかなくなってしまう。
あとはサラダバーとか???
生野菜だけじゃなくて火を通した野菜をしっかりとりたいとなると、結構探さなくちゃいけなくなる。
そこであったんです。
先日店の前でデモやられてたところなんですけど、野菜炒めとかひじきとか豆腐とかかぼちゃの煮つけとか肉じゃがとかおひたしとか、そんな素朴なやつですよ。
野菜が欲しい時ってあるじゃないですか。
なんかブラックと罵られているところで食べるのは心が痛んだけれど、野菜欲に負けました。
「ご飯いりませんか?」と突っ込まれるほど野菜メニューだけだった。
お野菜が体に染み込んでいきました。
朝ごはんは野菜オンリー。
まぁ、ブラックにしがみついていると人生破滅する。
前にも書いたけど、関われば関わるほど損しかしないし、組合を作って直接談合できないんだったら会社を労働者側からは動かせないんじゃないかな。

お昼は新宿伊勢丹で昔見た背広を探したけどなかった。
うろ覚えでしかなく、国産の生地でオーダーメードで・・・ぐらいしか覚えておらず、でもいつか着てみたいな国産生地のオーダースーツ。
そうそう。東京に来たらやりたいことまだあって「蒙古タンメン北極を食べること」がありました。
新宿にお店もあるし、行ってみたのだけれど、北極よりも味噌のつけ麺がより辛いことがわかり、急遽そちらに変更。
蒙古丼もつけて食べました。
かなり覚悟はしていましたが、結構ペロッといける。
涙なんか出てこない(あまりにも辛すぎると涙も汗も止まらなくなる)。
問題はつけ麺だから汁がしょっぱすぎて全部飲めなかったことぐらい。
札幌にも辛麺屋がすすきのにあって、そこもかなり辛いんですけど、そっちで慣れてました。
動画を見ると北極10倍ってあるんだけど、店舗限定メニューなのかな。
次に行く機会があったらやってみよう。
ちらちら書いているとは思いますが、私通常の人間が食べられないような辛いものでも食べることができます。
まずいのは無理なんですけどね。

昼近くまでホテルにいたため、その2つをこなしたら、すぐに空港。
降りるターミナルを間違えてしまい真向いのターミナルまで歩くことになったけれど、飛行機が遅れて着くらしく、焦っていた気持ちも吹っ飛び、ラウンジで飛行機をゆっくり見ながら搭乗。
特に天気は悪くなかったが、やはり雲の上の陰る太陽が美しく、朱が徐々に紺色に染まっていく瞬間の滲んだ世界が心を落ち着かせた。
ようやく、飛行機の中ですっと眠れる。
ようやく、レッスンが一区切りつく。

空港まで迎えに来てくれた相方に伝える。
「壤さんに褒められたよ」
「凄いじゃん!」

帰ってきてからが本番なんだけれどね。
声の技術、いかに使っていくか、またここからが修行の道。




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04/30

Fri

2021

壤晴彦丹田発声ワークショップ(その5)

2日目(3月27日)は僕が京都の西院に半年いた頃に知り合ったプログラマーがいたけれど久しぶりに会うことになった。
当時は有名ゲームメーカーのプログラマーをやっていたけど、今やAIのプログラマーまでやるぐらいだから本当に凄い若者。
僕と連絡とってくれる心優しい10歳ほど下の尊敬する人。
僕の声の名前は「天銀輝」なので「てるさん」と呼んでもらっている。
ネットで知り合ってるから特に突っ込んで本名知ってないけど、それでも数年越しでもきちんと連絡くれる。
その方が新宿の餃子屋を紹介してくれて、一緒に食べて今までの人生の情報交換。
お店の中であらかた話したけど、あちら様も名残惜しいと感じてくれたのか、せっかく東京に来てくれたからからとの配慮なのか、少し歩きましょうかということになって都庁まで歩いたけど、肝心の都庁、自粛明けなのに都庁内への出入りは禁止していた。

??????

自粛は解除しているのに都庁への出入りは禁止しているとは、なんとも東京の政治の本質を見たような気がして気分悪くなった。
しかも入れる予定は未定ときている。
正直便意を感じていたので、都庁のトイレで盛大にぶっこいてやろうと思ったのに、サイドの場所で落ち着かせることにした。
睡眠時間も少し欲しくて3時過ぎにホテルについて窓を少し開け、ホストの街宣の車やら、相変わらず昼間でも時折なったりする救急車。忙しいなと思う。
ホテルに入る前なんか、休業補償だかなんだか飲食チェーン店が従業員にちゃんとした対応をしなかったからとマイク使って活動していた。
僕も飲食いたしコロナの時にクソのような企業にいたから補償も何も政府の保証の事さえも何も知らされず、ましてや社保も支払ってないことすら知らされずにうやむやにされ休業しますだけで多大な損を被っているから、その怒りは充分、いや僕も君以上に怒り狂っているんだ内心は。
でもね、そういう企業潰したかったら法律と組織化と圧力と、そして自分だけではない多くの人たちを巻き込んで、企業と雇用者の仲立ちをするような組織を作り上げないといけない。
飲食に10年以上いるけれど、ゴミみたいな企業が目に付く。アコギすぎる上場企業や大企業もいる。そういう連中に対抗しなきゃいけないんだよ。
だから難しいんだ。力を持つことでしか解決できないんだ。
ホテルのベッドに横たわりながら、窓から吹き付ける強めの風を肌に受けながら配られたチラシを読みながらウトウト仮眠に入った。

ワークショップ2日目本番。
ホテルからの道中、はらりと完全体で桜の花びらが目の前に落ちてくる。
これは拾って欲しいのかなと思い持って行った。おかげでレッスン中は少し心が和む。
発声法の7つの残りを教えてもらった。
その上10人で5組を組んで各々歌舞伎の題材「勧進帳」を富樫と弁慶の両役を一回ずつ交代でやるという形式で練習する。
ちゃんとやればやろうとするほど震えが大きくなり、震えはグラスを持てば液体が零れるほどだったと思う。
震えを止めるために手をわざと大降りに震わせたり、ぎゅっと握ったり、心臓も高鳴っている。
何も知らないのに「上手くやろう」とは客観的に見れば滑稽だが、ホテルでもいつもの酒量以上に飲んでいるのに全く眠れず3時間程度できっかり目覚めて眠れなくなるのだからどうしようもない気持ちもあった。
気が張りすぎているから、その睡眠時間でも午後のワークショップでも目が覚めている。
ただ「上手くやる」ことが目的ではなく「倍音の感覚を掴む」のと「自分の持っている全力」で出して何が悪いのかを精査する目的があったから、声を張ったり、わざと低く体の中の振動を確かめながら音読のようなテンションでやったり、目の前の人は無視した。
これが「芝居」「演技」を目的としているレッスンならまだしも「発声」なのだから、全部「演じる」ことは自分の中で削ぎ落そうとは思ったけれど、そこは我が出てくる。
結局お金も労力も相方の了承ももらってきているのに、何もわかりませんでしたでは本末転倒。
目の前の人間ではない。
自分の出せる全部に集中。
台本を持つ手が震える。
ゆっくり地に足をつけてやるべきだと力を入れて読む。
結局みんな読むスピードが速いのか、なんだか自分だけが最後1分2分残る。
自分たちだけが声を出している。自分だけが声を出している。
当然周囲の目が向くけれど関係ない。恥ずかしい気持ちもあるけれどテンションを絶対に下げない。雰囲気が変わっても出すこと。だって答えを出す人は目の前の先生なのだから。

壤先生の前でもやって、指摘を受けることができた。
いい先生だと思ってきているので、いい弟子でありたい。
だからなるべく言葉で伝えられたことを体現できるように、今目の前の先生が出している振動を感じ取って自分に取り込むことに集中した。

「耳がいいじゃないの」
確か壤さんに言われた記憶がある。
耳は確かに最近のものではなくて思春期から聞いてマネする等していたような気がする。
親父がクラシック好きで、家で音楽をかけながらなんちゃって指揮者をやっていたっけ。
ここ数年だと人の声を「波長」で見聞きしていたのもある。
もちろん自分の声も。
だからどんな音を出しているのか多少はわかるようになっている。
小さなころからのバラバラの断片がすっと繋がっていく気がした。

ワークショップが終わり、相変わらずついてきてくれる3年目の子。Rくん。
その日は北海道からお酒を送った子から、ベトナムの調味料などを直接手渡される約束だったので「初対面だし人見知りだから一緒についてきて」とRくんにお願いする。
東新宿から新宿アルタまでの道のり色々話をするけど、気になる言葉を言うから正す。
「頑張りたいと思います」
例えば人間、平和、常識、幸せ、当たり前、頑張る等々の広範囲の言葉が出てきた時は、ほぼ思考が定まっていないと思っていい。
だいたい何もわかっていない混乱状態だと言っても過言ではない。
「頑張るって具体的に何するの?」
質問するけど答えられない。
これがいけない。
漠然としたものを思い浮かべるのは指標として大事だけど行動に移せるのは常にシンプルな考え方だ。
明日でも今すぐでも何ができるのか、もっと言えば「今これをする」という思考が大事だ。
忙しい人は常に、この「今すぐやらなきゃいけない」に振り回されていくことになる。
仕事が舞い込まなくても課題さえ見つかれば完全に忙殺される。時間が潤沢にあっても追いつかない。
思考の混乱はちょっとした視点の違いから生まれる。
夢は常に現実的な積み重ねの中にあるのだから、今自分が何をすべきか見えなければ辿り着けないんだ。
かつ指標も同時になくちゃいけない。目的地を見失うから。

ゆえに夢のない人間は道を失い、次の一歩を迷うものには未来がない。

結局R君とは僕が荷物を受け取った後、歌舞伎町の花園神社で夜桜見ながら、「俺壤さんに誘われて来たんだよ。嘘じゃないよ。メールで色々細かいこと教えてもらったんだから。ほら」と携帯を見せると食い入るように見ていた。
別に自慢する気もないけど、きっと「何故ここに自分がいるのか」を示せると思って。
意思もあるけれど、導かれて来たとなると中途半端な気持ちで臨むわけにはいかないからさ。

そして軽い話をして2日目終了。
最終日は勧進帳を見せてくれるというので、1時ごろの始まりだったけれど見たい人は11時。
どうせ眠れない、と思いながら浅い眠りにつく。

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04/30

Fri

2021

壤晴彦丹田発声ワークショップ(その4)

よく、迷っている人や表現のヒントを探している人に僕のテンプレートの話がある。
認知バイアス(色眼鏡)の話なのだが「雑草」が一番どこにでもあるしわかりやすいため用いている。
養成所3年目の子とベンチに座って話している時、強風が吹いていて、東京の人には少々寒いだろうと北の錦記念館でもらった手拭いを「首に巻きなよ。風邪引くから」と渡す。
喉を使うんだから、明日から痛めちゃったら練習にならないものね。
「ねぇ、なんで雑草って雑草って思う?」
だいたい答えられない。
辞書的な意味を引き合いに出すこともある。
だからこう答える。
「その植物の名前を知らないからだよ。例えば植物学者なら目の前の普通の光景、どこにでもありそうな雑多な緑のものを一般人は気にしなくても、突然、いやぁーこんなところにこれが生えてる、なんて気が付いたりする。そしてその植物の名前も、どうやって育つのかも知っているから興味持てる。今目の前にあるビル。突然、これは凄い工法で建てられているねー難しいよーとか振られても、そうですね、これはなかなかできませんよー、なんて食いつくのは知ってないとできないでしょ? つまりね? 知ってないと見れないんだよ。知っていて、知識があって初めて見えてなかったものが見えてくるんだ。だから好奇心を持つことだよ。好奇心を失ったら才能はなくなる。才能とは好奇心を持ち続ける限りあるから、だから好奇心を持ち続けてね」
認知バイアスは強烈な呪いとして個人に圧し掛かかる。
それは誰しも逃れようがない。
認知バイアスの性質をどこかで頭で理解していないと新しい世界を自ら開拓することは難しい。
日常のルーティンの中に陥っていく。
それを変えるのが新しい体験であったり、特に読書がいいのだけれど、読書のことは言えなかったな。
そうしてホテルまで送ってもらって初日は終わった。

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04/17

Sat

2021

壤晴彦丹田発声ワークショップ(その3)

ワークショップ初日、緊張しながら酒を持っていくと事前のやり取りがあったため、誰だかわかったらしく、壤さん「はじめまして」。
僕も焦ってて言うのを忘れて「はじめまして」。
今回のワークショップは10人限定で、最初から自分だけが部外者だとわかっていた。
ワークショップが始まる。
端的に言うと7つの発声法があると言う。
その中でも重要なのが腹式呼吸など西洋の発声法を外声と呼ぶのに対し、日本古来の発声法は内声と言う。
日本語は全ての発音に母音が関わり、海外の言語のように母音が関わらない発音が多いということはない。
ゆえに外声を使うと母音が強調されすぎて、いわば母音が尖ってうるさく聞こえてくる。
特にオペラハウスなどの作りは石造りだったり客席も斜め上に作られているのに対して、日本の古典芸能、神事、能、歌舞伎、狂言等は舞台の下に聞き手がいるゆえに、発声法も違ってくる。
内声+丹田を組み合わせた発声法。
丹田は実際にはどこを使うかと言うと、腰の下あたりの筋肉を使うのだそうだ。
ちょうど排便の時に力む場所。
そこを使うのだと言う。
今までまったく意識もしなかった発声。
いわゆる原理原則ってやつだ。
さすがに我流で表現が頭打ちになっていた原因は、最もシンプルな原理原則に辿り着いていなかったからだと気づいた。
ましてや、身体感覚となるとすべてが新鮮で新しい。
初日は震えっぱなしだった。
とにかく食らいついていくしかない。
全力でやり終わった帰り、9人の中で、今時珍しい、随分と瞳のキラキラした子がいるなぁと眺めていたけれど、その子に声をかけられた。
「役者さんの方ですか?」
「あ、いえ、全然関係ないんですけどね?」
「え?」
となって、お店は閉まってしまうので結構な強い風に吹かれながら外で缶チューハイを飲みながら雑談。
聞けば養成所3年目で悩んでいるという。
進むべきか引くべきか。
色々と自分が知っていることを話したけど、そこから3日間はずっとホテルまでついてきてくれた。
自分から話しかけようかなと思っていたけれど向こうから話しかけてきてくれて、とってもよかった。
長い付き合いになればいいなと思った。
1つ縁が出来た。

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04/10

Sat

2021

壤晴彦丹田発声ワークショップ(その2)

ワークショップにはオンラインもあったがオンラインでは意味がないと考えた。
壤さんの声は体感しなければ紐解けないことは感覚としてスッとわかったので、体で受け止めようと考えた。
せっかく北海道から行くんだ。
酒クズの真価を発揮して、北海道を紹介したいと考えた。
お酒は飲まれるとのことなので、断られても持っていこうと考えた。北海道もまた力強い土地であることを感じて欲しくて。
時期的にもちょうどよく、北広島の近くには栗山町がある。100年以上もの歴史を持つ小林酒造。現代においても新しい試みをしながら銘酒を作っている。
「北の錦」のあらばしりが、ちょうど3月の上旬に手に入った。1か月も経たずに売り切れてしまうあらばしり。ようは一番搾りだ。この時期にしか出てこない限定品と言っていい。
そしてもう一つ、Twitterで少し絡んでもらっているおたるワインの公式アカウント。
ワイナリー限定のワインを購入して東京の写真を撮ることをやってみようかなと考えた。
飛行機には4年ぶりに乗ったのだろうか。
飛行機は満席。聞くと要請解除から混みだしたと言う。
犬がフライト中ずっと鳴いていた。怖かっただろうに。初めてなのかわからないけど普通体験しないもんな。
自分も怖くてたまらない。怒られたらどうしよう。厳しすぎたら心が折れてしまう。
飛行機に乗るまでは正直億劫だった。
相方への4日分の食べ物を作り置き。カレーとか、ミートソースとか。ご飯さえ炊けばしのげるはず。足りないものはお惣菜なりでしのいでくれい。
ほぼ最終便でワークショップ前日に着く。
切り替えが下手くそすぎて1週間前から緊張していたため、内心そわそわしている。
東新宿のアパホテル。ちょうどワークショップの会場まで10分。
近すぎず遠すぎず。
これがいい。
帰りの時間、学んだことを歩きながら整理する。それでも考える時間を取りたいなら遠回りすればいい。
それがいい。だから安い宿よりも、多少お金がかかっても精神的に落ち着く宿を選んだ。
案の定、眠れたのは3時間。東京滞在中はずっと睡眠時間は3時間だった。
どんなに酒を飲んでもダメだった。それほど気が張っていたのだろうな。
ワークショップ初日、26日。
ワークショップが始まったらほとんど観光どころではなくなるだろう。心理的に。
だから初日にワイン片手に駒形橋からのスカイツリーと一緒にワイン。雷門とワイン。
写真を撮りながら公式アカウントにリツイートされるという遊びをしていた。
桜が綺麗に咲いていた。
ワイン片手に街練り歩いても自分程度の変人なんて東京にはごまんといるため、別に変な目で見られることはなかった。
こりゃ一升瓶片手に飲み歩いても誰一人気にも留めないだろう。
何度来ても不思議な街だ。
今回東京に来たもう一つの目標の中に「浅草の芸人を見る」ことがあった。
「どんなに惨めになっても浅草の芸人で死ぬなら本望」みたいな言葉をビートたけしが言っていたような気がしていて、その浅草の芸人ってどんな感じなのだろうと興味があった。
いくつか芝居小屋があったけれど、すぐ目に留まった小屋を物珍しそうに眺めていると、綺麗な女性から声をかけられ「チケット余ってるんでどうですか? 面白いですよ」と言われ「お金払います」と言っても「大丈夫です。余ってるんで」と1枚くれた。
入ってみると早速やっている。今回は歌がメインらしいのだけれど、おじいさんがダジャレのようなネタを披露している。
お客さんはほとんど高齢。若い人がいない。
本当に需要があるのかと疑問に思うけど、ちょっとクスクス笑ってる。
昭和の初期にタイムスリップしたみたい。
次々に出てきては芸を披露する。
歌や踊りやネタ披露。
たくましいものだと思った。
中には「終戦後、日本に帰還する人たちが多い中歌われた・・・」なんて言ってるけどきっとその人、たとえ戦後だったとしても赤子ぐらいで記憶がないんじゃないのか。
そんな歌を、さも自分が体験してきたかのように歌っている。見た目よりも年がいってるんだろうか。わからぬ。
ポロンとギターを鳴らしているけれど、音が正しいのか、ただないと寂しいから出しているのか微妙で、歌声の迫力だけで押し通している感じ。とあるレコード会社所属と言ってて、歌はよく声が出ていた。
売れずとも、そんなことは関係ない。死ぬまでやってやるのが芸人魂。
芸とは何かの神髄を教えてもらった気がする。
自分も東京に来たのだから尻込みせずに思いっきりやってやろうと思った。
一番馬鹿らしいのは、恥ずかしいとか怒られるとか、そんな不安を持って全力を出せず、ダメ出しを引き出せずに、何が悪いのかもわからずに帰るということだからだ。
何のために来たのかまったくわからなくなることだけは避けたかった。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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