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あさかぜさんは見た

日記

06/18

Sun

2023

離乳食を食べなくて

屋根の鉄板の上にビーズを落としているような音が響いている。
何日も何日も曇天の中、道産子としてはどうにも馴染まぬ長く激しい雨の音だ。
蝦夷梅雨という言葉が存在しているが関東の梅雨とは程遠く意識するほどでもなく気が付いたら雨が止んでいる程度だ。
朝降っていても昼には上がり、虹が差す程度。
長い期間雨に包まれ打たれ耐え忍ぶようなものはなかった。
だけれど今年は長く感じる。
雨が降り続けているような感じに包まれる。
昔沖縄から北大に入学して冬の曇天の長さに鬱になったという話を思い出したほどだ。
嫁は苦しんでいた。
子育てで自分にも激しくぶつかってくることがあり、それほど専門知識もない自分はぶつかってもくだけるしかなく、結局は自分ができる限りの、可能な限りのことをするしかなかった。
嫁は苦しんでいた。
6月1日から娘の離乳食が始まり、当初は自分もあまりもの少量過ぎて市販のものでよいと思っていた。
フレーク型の、お湯を混ぜるだけでおかゆができる、というものだ。
1日ぺろぺろべー、と出す
2日目も同じ。
3日目粉ミルクと一緒に混ぜても同じ。
4日、5日、6日、7日、同じ。
出す。飲み込まない。
嫁は6日にしてたまひよ掲示板という同じ時期に産まれた人たちが集まるたまごクラブひよこクラブというベネッセがやっている掲示板での主に母親が投稿している「子供が美味しそうに食べていた」投稿に心揺れ荒れる。
7日目、もうわからなくなり、市役所に相談しに行く。動画も道具も全て持ち込んで。
「内容自体は問題ないから単純に美味しくないから食べないのではないか」
とのアドバイスをもらう。
栄養士の方にも同席していただいたそうだ。
自分も以前話を聞いたことがあるが、その時自分が調理師免許を持っていて飲食店で働いていたことから色々質問したところ気にかかったことは「美味しいものを食べさせるとハードルが上がる」ということだった。
その時自分だけではなかった。嫁も同時に頭をよぎったことがあった。
菩提寺に紫の袈裟をつけられる住職がいて、ある日の話が頭に引っかかっていた。
お孫さんがデミグラスハンバーグはそこの店しか食べなくなったという話だ。
自分たちもお盆の時に、その店は普段やっていないのに不思議と特別にお弁当を作っていて、お世辞抜きに豪勢な、食べきれないくらいの、わかりやすく言うとお節料理の重箱一段くらいの量のお弁当をそのお寺で食べていたので、気にはなっていた。
ある日自分たちで手を合わせたくなり菩提寺に寄ったついでに、そのデミグラスハンバーグなるものが気になり、ランチ時間帯に立ち寄ったのだが売り切れでよかったとほっとしたものの、値段を見て二人で「まじかー」と力の入った後に脱力するような気持になった。
和食のお店で中庭もあり、高級料亭……いや、お値段も普通にランチを食べるような感覚ではなく、ちょっとホテルで食べるようなお値段だ。
そして、その、デミグラスハンバーグの値段がついにわかったのだが3500円だった。
値段ではない。もう既に何度か弁当を食べ、そしてお店に行って食べた物も互いに感動した味だ。不味いわけがないよねという結論とそして子供の頃からこんないいもの食べさせたらダメだよということを言い合った記憶がある。
絶対ハインツとか使ってない骨から作っている可能性もあり、というか恐らくやってる、と感じた。
この話が何故離乳食に関わってくるのか。
2018年9月6日北海道胆振東部地震が起こった。
厚真町という場所が最大震源地だった。
何もできないのはわかっていたが、場所を見たくなった。
何かできることはないのか。無力な自分には結局何もできなかったけれど、厚真町に「さくら米」というななつぼしの品種の米があることを知った。
近くに温泉があるが、その豚丼の米が美味しすぎて、これは買いたいと思ったのがきっかけ。
あと特産品は北海道最大の生産量のハスカップ。いや、日本一の生産量だ。ブルーベリーのような甘酸っぱい、大きさもほぼそれな果物があるけれど、そちらは食べ続けるにはそこまで流通しておらず、値段も安くはなかった。だから米になった。
落ち着いてからずっと買い続けている。このお米、特殊すぎて販売している場所が厚真町のコープかふるさと納税かという入手経路が限られている。
札幌から厚真町に近い今住んでいる北広島市からでも片道2時間近くかかるほど離れている。札幌からだったら3時間。気が遠くなる。
「美味しいものを食べさせたら子供がそれを学ぶから次食べさせるもののハードルが上がる」
ということを栄養士の方からアドバイスをもらい、高僧のお孫さんが高級料理の味を知ったら、それ以外の同類のものを食べなくなったという話を思い出し、そして市役所の意見としては「美味しくないから離乳食を食べないのではないか」ということだった。
正直抵抗感があった。
ーーヨワイ6カゲツニシテ、ムスメ、グルメニナリケリ
なんせこの米は山形産のはえぬき以来の感動を覚えた米なのだから、人生の中でもコスパ最強米として買い続けていた米。
ゆめぴりかは甘すぎてべとべとしすぎて自分の好みではなかった。美味しいんだけど、ここは好みの問題。
とてもいいバランスのお米なので、うちの米は嫁納得の定番となった。
10倍がゆは米をこしてどろっとした状態にする。
炊飯器でやる場合通常の米の上に容器を置いて一緒に炊くとできると書いてあったのでステンレスの容器を米の上に置いて10倍がゆを一緒に炊くという方法があると知ってやってみた。
7日目にして心折れかかった彼女が掴んできた情報だ。
8日目、ついに自分たちが食べている米を娘の口につける。
今までべろべろべーとほぼ口から出していた。
嫁がスプーンを口につけ優しく注ぎ込む。
……ぺろぺろ……ペロペロ……。
出さない。
え? 出さない? 出してない?
父母ともにやける。
もう一口スプーンで注ぐ。
飲んでる? 飲んでる? 飲んでるー!
そして娘にやけてるーっ!?
嫁は肩の荷が少しおりるような気持だったろう。
2人して笑った。
「1歳にもなってないのにもうグルメかよー!」
思わず自分が噴出して叫んでしまった。
3500円の話が2人の頭を目まぐるしく駆け回っている。
将来娘の肥えた舌を満足させる料理担当は自分だ。
今の料理の知識では追い付かなくなることは必死だ。
6月9日も食べたから、もう間違いない。
美味しいものがわかるのだ。ヨワイ6か月にして。
……勘弁して欲しい。
容易に予想できる。
手を抜いたら「美味しくない」と言われるのを。
苦しみのほんの少しの隙間から笑いが漏れる、今はそんな状況。
曇天の雨あがらぬ雲間から光が突き刺すように空を飾っていた。
後部座席に座り娘と瞳を合わせる。
面白い子だ。
貴女が見る空は、常に変わり続けているよ。
気持ちが追い付かないほどに。



P.S.
厚真町のさくら米作っている農家の方、うちの嫁の悩みが一つ減り娘が笑顔になりました。
ありがとうございます。

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05/29

Mon

2023

テアトルアカデミー2次試験合格

ついこの前温泉に一泊した時に韓国人の若い女性に「カワイイ」と声をかけられた。海を越えてかわいいと言われるような存在に対し恵まれているなと感じる。
さて、それじゃあオーディション受けたらサクッと受かるんじゃないか。もう顔パスじゃないのか。なんて受けたら2次試験合格。面接官4人のお眼鏡にかなったわけだ。



この後入所金なのなんなのお金がかかってくるのだが、そんな余裕はなく、入らずに終わるわけだけど、色んな道が開けていいと思う。美人は生涯賃金も多くなるとどこかで読んだことがあるから、きっとお金には困らない人生を歩んでいくのだろう。



6月7日で6か月になるが他の赤ちゃんを見ていると「うちの子本当に6か月なんだろうか」と疑うくらい顔立ちがしっかりしている。
自分が通りかかると振り向いてニコニコする。パパとは言わないまでも何か「うーうー」言っていてバリエーションも増えてきた。どんどん何か得ているようだ。



あと2か月か3か月ほどで立ち上がるに違いない。酷く泣かれる時もあるけれど、基本は見かけただけで喜んでくれる。抱っこをしてブランコと言って揺らすと喜ぶ。
今生まれた時の動画を見つけて、手の平に納まっていた子がもう6kgを超えてずっしりしてきた。抱っこをする腕も痺れるほどだ。
将来この子をプロデュースしてもいいだろうなと感じるようにもなってきた。
夢は広がるけれど、やりたいようにやらせたい。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※テアトルアカデミーのことについてはネットを調べれば書いてあるのでそちらを、とは思ったけれど多少は書いておこう。

うちの場合はネットで応募。
facebookの広告から写真や子供の名前など書いてのネット応募。
※写真は普段から撮ってあげておいた方がよいものを選べますよ
他には郵送もあるそうだ。
一次試験があり、選考の結果二次試験。
二次試験は選考委員がいてその前でカメラ撮影されながら4人の面接官の前で質問に答えるというものだったが、札幌では入る前の控室が映されており「おや?」と思ったが、たぶんそっちもチェックしているはず。
だから仰々しく画面に部屋の様子がわかるように映し出されていたのではないかとは感じている。
自分らが受けた時には24組ほどおり、最後の方だったが3組ずつ1列に並んでの面接だったのでとても早かった。
3つ4つほどの質問ですぐにありがとうございましたと退場を促された。
4人面接官はいたけれどマイクで喋っているのは1人だけ。
4人のうち1人はテレビ関係者という具合だった。
合否は1週間で届いた。
内容は入所案内。
賞状や講評が入っていますが、うちは電話連絡で合格通知が届いたかの確認と各審査員の感想も添えて話してくれました。
落ちた人にも電話連絡で理由を教えてくれるそうです。
賞状についてはスポーツとかコンクールとかでもらうようなしっかりしたものなので、この賞状を狙いに行くだけでもいいと思います。
実際うちはそうでした。

芸能事務所に入ったからってすぐさま仕事もらえるほど甘優しい世界じゃないし、上へ行くには運の要素も必要になってくる。
入所金については場所によってバラバラなのですがベビー部門は2種類の金額があるんですが、だいたい30万円見積もった方がよろしいかと。今いる最寄りの事務所の場所を調べて入所金で検索するとすぐわかります。
ベビー部門以外はレッスン必須だそうです。

そんなところですかね。

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04/04

Tue

2023

生きてるだけで褒められる娘

娘の100日祝いも無事に済み、もう4か月目になろうとしているところだが、とにかく出会う人に褒められる。
この写真を撮ったスタジオのお姉さんも「かわいい」を連呼していたが、最初おだてるためのお世辞だと思っていた。だけど写真撮影が終わっても近づいて「かわいい」と言ってたのだから、あれ?お世辞じゃないのかもと感じた。
通りかかった女子高生に褒められる。
行った飲食店の店員に褒められる。
服を買った店長に褒められる。
初めて会う人は「かわいい」と褒めてくれる。
本当に生きているだけで褒めてもらえる。
素晴らしい存在だと思う。
もう最悪の4か月だった。
1年で数度しか喧嘩をしない嫁だったのに2・3日に1回喧嘩をするペースで互いに泣いていた。
打ちのめされたこともあった。
産まれてこなければ等と言ってもしょうがないので目の前にあること1つ1つに対応していった。
疲れ切って仕事を休んだり遅刻したりを繰り返しながらコールセンターの仕事を1年やった。
クレジットカードだったので人生で初めて他人から何度も怒鳴られたり嫌味言われたりしながら3月末に派遣の契約満了を迎えた。
AIが3月半ばに大進化を遂げ、恐ろしいスピードで今進化をしている。
起きたらまた世界が変わっているというレベルだ。
2月に契約更新の通知が来ていたが、続けていたら破産するとわかったので打ち切ることにし、新しい職場を探そうと考えていた。
そして3月中旬、chatGPT4がリリースされると爆発的にAIが広がっていった。
まるでビッグバンを見ているようだった。
宇宙の誕生に自分は立ち会ったのだと感じた。
天地がひっくり返ったのだとさえ思った。
収入の当てなし、コネなし、失敗したら破産するという瀬戸際でAIに賭けてみてもいい気がした。
今これをやっておかないと一生後悔する気がする。

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01/16

Mon

2023

「娘が産まれてきた時幸せだとか感じなかった?」
「いや? 別に」
ただ自分の中で「他人が家の中に一人増える。いつ嫌われるかわからない」
という気持ちがあった。
しかしながら「魂の傷がいかに人生一生に影を落とすか」を知っている人間として、せめて子供には傷を追わせたくはないと思っている。
そしてこの私という人間に対して深い理解を寄せようとする彼女のために彼女のことを大事にしたい。
「時折感じることがある。たった一日で人間の心をどうやったら破壊できるのか知っている。その割には育むことは何年も必要になる。割に合わないからやらないんだよ」
「もし、それをやったら離婚届出すね」
「わかった」
子供が産まれて幸せな気持ちに包まれない親なんてDVまっしぐらなコースが通常なのだろうが、私は私のことを理解していて可能な限り自分に嘘をつかない人生を守り続けている。
私小説を書いた時に「取り繕おうとする自分」を感じ、いかに素直に生きることが難しいのかを感じた。
そして魂に対して寄り添うことも同時に難しいのかを感じた。
尚の事他人に対してならば、ということになる。
何故壊すのは簡単なのに創るのは苦しいのか。創ることを少なくとも知っているから壊す時は自分がその場で己を破壊する時なのだろう。
「君も人の子だったんだねぇ」
ウイスキーバーの店主に結婚届けの用紙にサインしてもらったけれど、ある意味嬉しかった。
こいつは異常だぞと感じてくれても相手してくれてたんだから。
「いうても妖怪の類ですけれどね」
もう、わかっている。
知り合って今もコメントくれる人はいるけど少なくとも外見だけ見るような人ではなく、それでもなお互いに立っている場所から話しかけてくれる人達なのだと。
独自の嗅覚のみで人を選んで生きてきた。
まず人間としておかしいのだから世間一般の普通の人たちは避けてきた。
面白く話すことはできるかもしれないけどそれまでだから。
2022年は娘の追いうんちに終わり2023年は娘のギャン泣きに始まった。
子育ては千差万別ながら父親の育休は絶対にあったほうがいいと感じた。
期間は最低3ヶ月。
夜泣きも始まり休みの日は自分が深夜担当になっているが、泣かなければそれにこしたことはないが、今日泣くかどうかは賽の目を振るに等しい。
だから手のかかる子は見守り担当が必要になる。
娘の瞳を見ていると不思議な気持ちになる。
色素が薄いのか光の加減によっては若干シルバーのように見える。
まるで宇宙を見ている錯覚さえ覚える。
心のことをミクロコスモス(小宇宙)等と例えたりするが、もうこの小さな命の中に宇宙が宿っているのだと感じている。
人間はこの宇宙を己の感性によって狭めていき規格品を社会に送っている。
さもながら私は社会に出て大変苦労したのは礼儀を全く知らなかったので大変な摩擦を起こし、目をつけられ攻撃の対象になった。
社会を生きるために最低限上手く生きられるように躾は私も学んでいかなければいけない。
それでも人は娘を攻撃するかもしれない。
善意を向けても器がなければ受け取れない。
人間の汚さから美しいところまで満遍なく伝えられればいい。
虚飾の世界に溺れずハリボテを見抜く力は教えなければいけない。
私もそうであるが他の人間も恐ろしい妖怪を住まわせているのかもしれないのだから。
あけましておめでとう。
私は貴女に目に見えない世界と目に見える世界を教えるために魂の存在と防御の方法を教えていく。
どんな理屈も魂を潰されたら歩き出すまで10年20年平気でかかったりし、魂の傷を背負った瞬間から孤独になり他者に通じなくなるから、これからの時代の変革、そして新たな戦後に成人する貴女の魂に対し敬意を評しながら私は接しよう。
ありがとう。
新たな無垢な才能を持つ娘よ。

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12/14

Wed

2022

娘が早めに退院できることになった



12月12日、前日降りしきる雪が白い道を作り、白く平野を彩り、白銀の樹氷を育てた。
迎えに行く時その景色がとても綺麗だと思い、国道から逸れて細道を選んだ。
本来は妻のみ退院の予定だった。
何せ2042gの低出産体重児で産まれてきたため娘は保育器の中にしばらくいる予定だった。
しかしお医者も「ポテンシャルがいい」と太鼓判を押し、助産師さんも「この体重でミルク40mlも飲むことなんてそんなにない」と驚いていたようで一緒に退院してもよいとのことだった。



白菜のおくるみに包まれ午前に退院した娘は取り付く島もなく午後には哺乳瓶を譲ってくれるというママ友と合流するため道の駅へ。
そこでは何故か4人ものママ友が集結しており「かわいい」の連呼だったのだが、奇遇にも1人は1歳年上ながら他3人の子供は同じ年度産まれという偶然。しかも前の職場の同僚という珍しいケースなのだった。
なので子育てやおむつの話題となるとメーカーごとの違いを詳しく説明していて何かと参考になっていたようだった。
一方寒空の下に晒されている娘は起きる様子もなく妻にほっぺをぐりぐりされても眉間にしわを寄せるのみで頑なに眠り続けついに起きることはなかった。
よく眠る子なのだ。
寝る子は育つというが退院時には100g以上も増えていたのだから育つのも早い。夜には私の両親とも会うというハードスケジュールをこなし、その日は終了。
娘のマネージャーの私はそっと心の手帳を閉じて短い眠りについた。
それにしても世のお母さんたちは本当によくやっていると感じた。
3時間ごとにミルクをやり、泣くごとに原因を探り解決し、都度おむつを替え、産後のぼんやりとした思考回路で悪戦苦闘して育児をしなければいけないのだから人の手が借りられないと心も体もやられてしまうのはよくわかった。
そして男性にも育児休暇必要ってことは感じた。
交代制でようやく大人しいうちの娘でなんとかなるのだから、これが癖があって泣き止まない子だったらノイローゼになるのは目に見えている。
誰も支えてくれなかったら子供なんて産まなきゃよかったと自暴自棄にもなりかねない。
世のお母さん方、偉い!

12月13日、雨が降りしきる中、前日病院へお会計を払い忘れてそのまま出てきてしまったため再度病院へ行き済ませ、一息ついたところで市役所へ出生届を出しに行く。



午後市役所に着いた頃には雨も上がり虹も出ていた。
市役所の最上階には白い恋人カフェがあり、北広島市限定のマドレーヌのような焼き菓子もあるが、今回は手続き終わるまでコーヒー。Lサイズ手のひらサイズ。380円。ちなみに焼き菓子ミルクの味が強くしっとりでしつこくなく、かなり美味しい。お勧めです。
相変わらず娘は眠っているだけだったが通りかかる職員にちょくちょく「かわいい」と立ち止まって声をかけてもらった。
「午後の仕事頑張れる」と仰ってくれた方も。
カフェでも4人のご婦人方が談笑していたが「今の子は顔整ってるわねー」等お褒めの言葉を頂いた後当時の旦那の愚痴。
「私のところなんて手伝ってくれなかったわよー」と口を揃え。
それにしても、気が付いたことがある。
職員で男性の方にも対応してもらったが子供のことで声をかけてもらったのは計10人以上いて全員女性だ。
男性には一言も声をかけてもらっていない。
……どうしてだろ?
褒めてくれという話ではなく、あからさまに子供に興味があるのは女性であり、男性は他人の子供は微塵も興味がないということなのだろうか。
男は狩りに、女は家を、みたいな原始的な脳の働き云々で片づけてよい話なのだろうか。
圧倒的に男性は子供への興味の持ち方が違うのだという事だけはすぐわかった。
市役所で済ます手続きの中で年間20Lゴミ袋を2歳になるまで分をもらえる助成があり、保育室のような部屋で申請する。
うちは160枚もいただいたが、申請中に娘が泣きだす。
時間を見るとミルクタイム。
不思議と3時間きっかりで泣く。誤差はあるが、ほぼ3時間ごとに泣くから体内時計がしっかりしているのか、元々人間には時間の感覚がしっかりとあり、日常生活の中で失っていくのか。
大人になったら訓練しなければ身に付かない感覚をもう持っているのはよいことなのだが、周囲は百戦錬磨の職員。
ハイシート型のベビーベッドに寝ていた娘のおむつチェックにその部屋全スタッフの目が光る。
「いいか! 新人(ルーキー)! おむつ替えは足を持たず腰をしっかり支えて浮かせろ! わかったか! 返事は!?」
「レンジャー!」
おむつ替え2日目だからといえども甘えは許されない。
泣きわめく娘のおむつをいち早く替えてミルクを飲ませなければならない。
テープ止めに手こずりながらおむつ替えが終わると魔法瓶に入れてあったお湯を哺乳瓶へと注ぐ。
メモリはきっかり40ml。
哺乳瓶は熱々だ。
冷ますのに時間がかかる。
「あ、ミルク冷ますのに道具ありますよ」
と、一人の職員が調理用の銀色ボールに水を入れてきてくれる。
「交換した後のおむつ片づけておきますね」
他の職員がすぐさまゴミを片付ける。
――これが戦場を潜り抜けてきた者たちのチームワークか……っ!
物怖じしている場合ではない。
足を組み、段差で娘を支え、左手の親指と人差し指は耳の下。首をしっかり固定してぽっかり開いた口元へ哺乳瓶の先端を突っ込む。
くわっと見開いた娘の瞳。
勢いよく吸われるミルク。
エネルギーが充填されるかのように中身が減っていく。
完飲! 爆睡!
そう。満足すると間髪入れずに眠りへ入るのだ。
たまに眠りながら飲んでいることもあるけれど。
ゲップ出しも眠っていようが関係ない。
「グゲェ」と言うまで背中を叩き続ける。
背中を強めに叩くので泣きそうなものだが静かだ。
手続きが終わり職員たちの微笑みに見送られ市役所を後にした我々なのであった。
戦いは、これからも続くっ!
話は変わり、嫁の退院後の食べたい物が「卵かけご飯」だった。
妊娠中の10か月は体に気を遣い食べるものも制限していたが、その中に「生卵」があった。
どうせ食べるならいい卵でやってみようじゃないか、と思い「くるるの杜」というホクレン直売所に寄ってみた。
普通のスーパーには高級卵がない。
と言ったって、目ん玉飛び出るようなバカ高いものは、売ってない。
通常の10個入りパックの値段の2倍ほどのもので6個入り。
初めて食べてみたけれども、食べる前は期待してなかったけど、食べたらコクが、コクがっ、コクがすんごーいあって美味しい。
卵1つでこれほど違うものかと感動したものだった。
もちろん「卵かけご飯用醤油」もかけたが塩梅に注意しつつ、卵と醤油の最適解で2人ともにやけながら食したのだった。



何度も書いていたが、雪が降っている。
つまり冬だ。
住んでいる場所は一軒家だが古い。
つまり床暖などなく、ストーブ1つで3部屋以上温めなければいけない。
なるべく敷布や掛け布団など重ねているが娘が震えながら眠っている。
嫁はアルコールアレルギーで酒が飲めないが、よく「瓶が綺麗だから取っておいて」と何本か取っておくことがある。
そして冬場はお湯を入れて湯たんぽとして活用していたが、それを娘にもやろうということになった。



……うん。
なんとコメントすればいいのか。
写真で撮れば大吟醸。
写真を見せれば大炎上。
親が新生児に日本酒を飲ませているとも捉えられなくもないが、もちろん中はお湯だ。
サイズはピッタリ。
今晩は田中酒造の「雪あかり」で眠るがいい。
お腹の中にいた時から右手をあごに充てる仕草が癖のようだが、妻も寝ている時にしている。
その仕草を「エレガント睡眠」と呼んでいるが、遺伝子は生物学的記録以外に、生きている記憶を記録することもできるのか、それとも超自然的なものがあり生命の記憶は何かに繋がっているのか、まだ科学は全てを解明したわけではないそうなので、この小さな命の輝かしさに、今日も眠れぬ時間が続いていきそうだと感じている。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。

気が付いたら他人からとても褒められる娘ができまして、人生が大きく変わりました。
この小さな可能性と向き合うため頑張って生きております。

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