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あさかぜさんは見た

リクエスト何かあれば「comment」に書いてください。「note」「Paboo」で小説作品読めます。

01/16

Mon

2023

「娘が産まれてきた時幸せだとか感じなかった?」
「いや? 別に」
ただ自分の中で「他人が家の中に一人増える。いつ嫌われるかわからない」
という気持ちがあった。
しかしながら「魂の傷がいかに人生一生に影を落とすか」を知っている人間として、せめて子供には傷を追わせたくはないと思っている。
そしてこの私という人間に対して深い理解を寄せようとする彼女のために彼女のことを大事にしたい。
「時折感じることがある。たった一日で人間の心をどうやったら破壊できるのか知っている。その割には育むことは何年も必要になる。割に合わないからやらないんだよ」
「もし、それをやったら離婚届出すね」
「わかった」
子供が産まれて幸せな気持ちに包まれない親なんてDVまっしぐらなコースが通常なのだろうが、私は私のことを理解していて可能な限り自分に嘘をつかない人生を守り続けている。
私小説を書いた時に「取り繕おうとする自分」を感じ、いかに素直に生きることが難しいのかを感じた。
そして魂に対して寄り添うことも同時に難しいのかを感じた。
尚の事他人に対してならば、ということになる。
何故壊すのは簡単なのに創るのは苦しいのか。創ることを少なくとも知っているから壊す時は自分がその場で己を破壊する時なのだろう。
「君も人の子だったんだねぇ」
ウイスキーバーの店主に結婚届けの用紙にサインしてもらったけれど、ある意味嬉しかった。
こいつは異常だぞと感じてくれても相手してくれてたんだから。
「いうても妖怪の類ですけれどね」
もう、わかっている。
知り合って今もコメントくれる人はいるけど少なくとも外見だけ見るような人ではなく、それでもなお互いに立っている場所から話しかけてくれる人達なのだと。
独自の嗅覚のみで人を選んで生きてきた。
まず人間としておかしいのだから世間一般の普通の人たちは避けてきた。
面白く話すことはできるかもしれないけどそれまでだから。
2022年は娘の追いうんちに終わり2023年は娘のギャン泣きに始まった。
子育ては千差万別ながら父親の育休は絶対にあったほうがいいと感じた。
期間は最低3ヶ月。
夜泣きも始まり休みの日は自分が深夜担当になっているが、泣かなければそれにこしたことはないが、今日泣くかどうかは賽の目を振るに等しい。
だから手のかかる子は見守り担当が必要になる。
娘の瞳を見ていると不思議な気持ちになる。
色素が薄いのか光の加減によっては若干シルバーのように見える。
まるで宇宙を見ている錯覚さえ覚える。
心のことをミクロコスモス(小宇宙)等と例えたりするが、もうこの小さな命の中に宇宙が宿っているのだと感じている。
人間はこの宇宙を己の感性によって狭めていき規格品を社会に送っている。
さもながら私は社会に出て大変苦労したのは礼儀を全く知らなかったので大変な摩擦を起こし、目をつけられ攻撃の対象になった。
社会を生きるために最低限上手く生きられるように躾は私も学んでいかなければいけない。
それでも人は娘を攻撃するかもしれない。
善意を向けても器がなければ受け取れない。
人間の汚さから美しいところまで満遍なく伝えられればいい。
虚飾の世界に溺れずハリボテを見抜く力は教えなければいけない。
私もそうであるが他の人間も恐ろしい妖怪を住まわせているのかもしれないのだから。
あけましておめでとう。
私は貴女に目に見えない世界と目に見える世界を教えるために魂の存在と防御の方法を教えていく。
どんな理屈も魂を潰されたら歩き出すまで10年20年平気でかかったりし、魂の傷を背負った瞬間から孤独になり他者に通じなくなるから、これからの時代の変革、そして新たな戦後に成人する貴女の魂に対し敬意を評しながら私は接しよう。
ありがとう。
新たな無垢な才能を持つ娘よ。

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12/14

Wed

2022

娘が早めに退院できることになった



12月12日、前日降りしきる雪が白い道を作り、白く平野を彩り、白銀の樹氷を育てた。
迎えに行く時その景色がとても綺麗だと思い、国道から逸れて細道を選んだ。
本来は妻のみ退院の予定だった。
何せ2042gの低出産体重児で産まれてきたため娘は保育器の中にしばらくいる予定だった。
しかしお医者も「ポテンシャルがいい」と太鼓判を押し、助産師さんも「この体重でミルク40mlも飲むことなんてそんなにない」と驚いていたようで一緒に退院してもよいとのことだった。



白菜のおくるみに包まれ午前に退院した娘は取り付く島もなく午後には哺乳瓶を譲ってくれるというママ友と合流するため道の駅へ。
そこでは何故か4人ものママ友が集結しており「かわいい」の連呼だったのだが、奇遇にも1人は1歳年上ながら他3人の子供は同じ年度産まれという偶然。しかも前の職場の同僚という珍しいケースなのだった。
なので子育てやおむつの話題となるとメーカーごとの違いを詳しく説明していて何かと参考になっていたようだった。
一方寒空の下に晒されている娘は起きる様子もなく妻にほっぺをぐりぐりされても眉間にしわを寄せるのみで頑なに眠り続けついに起きることはなかった。
よく眠る子なのだ。
寝る子は育つというが退院時には100g以上も増えていたのだから育つのも早い。夜には私の両親とも会うというハードスケジュールをこなし、その日は終了。
娘のマネージャーの私はそっと心の手帳を閉じて短い眠りについた。
それにしても世のお母さんたちは本当によくやっていると感じた。
3時間ごとにミルクをやり、泣くごとに原因を探り解決し、都度おむつを替え、産後のぼんやりとした思考回路で悪戦苦闘して育児をしなければいけないのだから人の手が借りられないと心も体もやられてしまうのはよくわかった。
そして男性にも育児休暇必要ってことは感じた。
交代制でようやく大人しいうちの娘でなんとかなるのだから、これが癖があって泣き止まない子だったらノイローゼになるのは目に見えている。
誰も支えてくれなかったら子供なんて産まなきゃよかったと自暴自棄にもなりかねない。
世のお母さん方、偉い!

12月13日、雨が降りしきる中、前日病院へお会計を払い忘れてそのまま出てきてしまったため再度病院へ行き済ませ、一息ついたところで市役所へ出生届を出しに行く。



午後市役所に着いた頃には雨も上がり虹も出ていた。
市役所の最上階には白い恋人カフェがあり、北広島市限定のマドレーヌのような焼き菓子もあるが、今回は手続き終わるまでコーヒー。Lサイズ手のひらサイズ。380円。ちなみに焼き菓子ミルクの味が強くしっとりでしつこくなく、かなり美味しい。お勧めです。
相変わらず娘は眠っているだけだったが通りかかる職員にちょくちょく「かわいい」と立ち止まって声をかけてもらった。
「午後の仕事頑張れる」と仰ってくれた方も。
カフェでも4人のご婦人方が談笑していたが「今の子は顔整ってるわねー」等お褒めの言葉を頂いた後当時の旦那の愚痴。
「私のところなんて手伝ってくれなかったわよー」と口を揃え。
それにしても、気が付いたことがある。
職員で男性の方にも対応してもらったが子供のことで声をかけてもらったのは計10人以上いて全員女性だ。
男性には一言も声をかけてもらっていない。
……どうしてだろ?
褒めてくれという話ではなく、あからさまに子供に興味があるのは女性であり、男性は他人の子供は微塵も興味がないということなのだろうか。
男は狩りに、女は家を、みたいな原始的な脳の働き云々で片づけてよい話なのだろうか。
圧倒的に男性は子供への興味の持ち方が違うのだという事だけはすぐわかった。
市役所で済ます手続きの中で年間20Lゴミ袋を2歳になるまで分をもらえる助成があり、保育室のような部屋で申請する。
うちは160枚もいただいたが、申請中に娘が泣きだす。
時間を見るとミルクタイム。
不思議と3時間きっかりで泣く。誤差はあるが、ほぼ3時間ごとに泣くから体内時計がしっかりしているのか、元々人間には時間の感覚がしっかりとあり、日常生活の中で失っていくのか。
大人になったら訓練しなければ身に付かない感覚をもう持っているのはよいことなのだが、周囲は百戦錬磨の職員。
ハイシート型のベビーベッドに寝ていた娘のおむつチェックにその部屋全スタッフの目が光る。
「いいか! 新人(ルーキー)! おむつ替えは足を持たず腰をしっかり支えて浮かせろ! わかったか! 返事は!?」
「レンジャー!」
おむつ替え2日目だからといえども甘えは許されない。
泣きわめく娘のおむつをいち早く替えてミルクを飲ませなければならない。
テープ止めに手こずりながらおむつ替えが終わると魔法瓶に入れてあったお湯を哺乳瓶へと注ぐ。
メモリはきっかり40ml。
哺乳瓶は熱々だ。
冷ますのに時間がかかる。
「あ、ミルク冷ますのに道具ありますよ」
と、一人の職員が調理用の銀色ボールに水を入れてきてくれる。
「交換した後のおむつ片づけておきますね」
他の職員がすぐさまゴミを片付ける。
――これが戦場を潜り抜けてきた者たちのチームワークか……っ!
物怖じしている場合ではない。
足を組み、段差で娘を支え、左手の親指と人差し指は耳の下。首をしっかり固定してぽっかり開いた口元へ哺乳瓶の先端を突っ込む。
くわっと見開いた娘の瞳。
勢いよく吸われるミルク。
エネルギーが充填されるかのように中身が減っていく。
完飲! 爆睡!
そう。満足すると間髪入れずに眠りへ入るのだ。
たまに眠りながら飲んでいることもあるけれど。
ゲップ出しも眠っていようが関係ない。
「グゲェ」と言うまで背中を叩き続ける。
背中を強めに叩くので泣きそうなものだが静かだ。
手続きが終わり職員たちの微笑みに見送られ市役所を後にした我々なのであった。
戦いは、これからも続くっ!
話は変わり、嫁の退院後の食べたい物が「卵かけご飯」だった。
妊娠中の10か月は体に気を遣い食べるものも制限していたが、その中に「生卵」があった。
どうせ食べるならいい卵でやってみようじゃないか、と思い「くるるの杜」というホクレン直売所に寄ってみた。
普通のスーパーには高級卵がない。
と言ったって、目ん玉飛び出るようなバカ高いものは、売ってない。
通常の10個入りパックの値段の2倍ほどのもので6個入り。
初めて食べてみたけれども、食べる前は期待してなかったけど、食べたらコクが、コクがっ、コクがすんごーいあって美味しい。
卵1つでこれほど違うものかと感動したものだった。
もちろん「卵かけご飯用醤油」もかけたが塩梅に注意しつつ、卵と醤油の最適解で2人ともにやけながら食したのだった。



何度も書いていたが、雪が降っている。
つまり冬だ。
住んでいる場所は一軒家だが古い。
つまり床暖などなく、ストーブ1つで3部屋以上温めなければいけない。
なるべく敷布や掛け布団など重ねているが娘が震えながら眠っている。
嫁はアルコールアレルギーで酒が飲めないが、よく「瓶が綺麗だから取っておいて」と何本か取っておくことがある。
そして冬場はお湯を入れて湯たんぽとして活用していたが、それを娘にもやろうということになった。



……うん。
なんとコメントすればいいのか。
写真で撮れば大吟醸。
写真を見せれば大炎上。
親が新生児に日本酒を飲ませているとも捉えられなくもないが、もちろん中はお湯だ。
サイズはピッタリ。
今晩は田中酒造の「雪あかり」で眠るがいい。
お腹の中にいた時から右手をあごに充てる仕草が癖のようだが、妻も寝ている時にしている。
その仕草を「エレガント睡眠」と呼んでいるが、遺伝子は生物学的記録以外に、生きている記憶を記録することもできるのか、それとも超自然的なものがあり生命の記憶は何かに繋がっているのか、まだ科学は全てを解明したわけではないそうなので、この小さな命の輝かしさに、今日も眠れぬ時間が続いていきそうだと感じている。

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12/11

Sun

2022

「8億円札」なるものが100均に売っていた。



人生ゲームのようなお遊びのものだが、一体誰が買うのだというものも100均には多い。
その「誰が」に該当したのが私だ。
最初1枚買い、パソコンの前に置いておいたが、1枚では物足りなくなってきた。
どうせ稼ぐなら8億なんてみみっちいこと考えずにもっと上を目指そう。
だから残り9枚あったが買い占めてきた。
さて、何のために10枚、80億を用意したか。
自己暗示にかけるための道具として仕入れてきた。
僕は小説なんて書いているくせに文字に弱く固有名詞を覚えづらい。
だから人の名前は忘れるが、イメージに残ったものは思い出せる。
これが辛いものもよく覚えているからきつかった。
自分を騙すほどには追い詰められないが、少なくとも見て触って当初の目標を思い出すには文字で抱負を書きだすよりもアバウトで覚えやすく忘れづらい。
文字で覚えづらいならイメージを植え付ける。
「インセプション」という映画があったが、深層心理への植え付け効果は絶大で、個人の行動をも束縛する。
それを自分は四半世紀以上も味わってきたのだから、誰も魂の束縛は説明してもわからないことだろう。
だが、これを逆手に取る方法もある。
それがおもちゃだろうと、毎日毎日自己暗示にかけ、自分をプラスの方向へと催眠へかけていく。
以前ノーベル文学賞目指してますって酔っ払って言ったことがあるけれど、それを思い出した。
テーマはもう決まっていて「色と香り」の世界を第六感も含めて絡め取っていく。
「知れば知るほど感性が閉じていく」
ただそういう「無理解」とは戦っていかないといけない。
解脱には程遠く、怒りや憤りや己への未熟さに今すぐ現世を諦めたいぐらいだ。
意気込んだら心のバランスを崩して、過去のフラッシュバックが来る。
自分は未熟すぎてどこに突破口を見出せばいい。
最終的な目標は「世界の芸術を束ねるシステムをAI」によって実現するということ。
金が必要なのはそのためだし、金がないから自分はチャンスがなかった恵まれなかったのだという言葉を地球上から排除したい。
そんな夢物語をちょっと思い出したんだ。
そこへ踏み出すのに自己催眠が必要になってくる。

12月9日。





婚姻届けを書いてもらったウィスキーバーの店主に娘が産まれたことを報告しに札幌へと出かけた。
すすきの巡回コースがあるのだけど、陶芸家が集まるお店があり、そこに「名陶無雑(めいとうむざつ)」という言葉があった。
雑念無き所に名陶あり、とのことだ。
ここから話すことは、とにかく色々なことを端折る。
割愛なんて言葉じゃ片づけられないほどだが、2003年12月自分にとっての預言書とも言うべき歌舞伎が国立劇場であった。
「二蓋笠柳生実記(ニカイガサヤギュウジッキ)」
過去現在未来がそこにあった。
その未来の中で柳生の放蕩息子が、とある事件があり師匠へ怒り木刀で挑みかかった。
その時師匠の椅子にしていた丸太を真っ二つに割った。
「この切れ口は!」
と師匠は柳生の息子を免許皆伝にする。
その時自分は悟った。
芸事技術事、全ての本質とは怒りという邪な感情であったにせよ「純度100%」にまで高め、他一切の濁りを無くすことなのだと。
この境地に至らねば極められないのだと。
そして純度100%という結晶を作るには、いかに自分の魂への本質へと身を投じなければならないのかと。
もう20年前の話だ。
ことあるごとに思い出していたけれど、まさかここでまた思い出すとは。
やっぱりどうやら、そろそろ真面目に書けよってことだ。
皆様ありがとう。
どうやら関わってくれた人たち全てが、自分の進むべき道を教えてくれるらしい。

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12/09

Fri

2022

12月7日水曜日、午後2時39分、彼女は産まれた。
ゆっくりと落ちる綿雪に光差す明るい曇り空だった。
病院の駐車場でフロントガラスに落ちては溶ける雪を眺めながら過ごしたのは30分もない。
深夜2時半近くに病院に到着し半日ほど経過したくらいだった。
昼はスープカレーだと写真を送ってくれ、病院食にしては随分豪勢だなと思いメッセージを打ち込むと返信がなく、自宅で待機していた自分はもうそろそろ行くべきかなと向かい駐車場で待機していると電話。
嫁は苦しんでいて言葉にならず助産師さんにすぐ代わる。
もうすぐ呼ぶので車で待機していて欲しいと通話が切れると20分ほどでもう連絡。
病院の中に入っていいと言う。
分娩室の前で着替えると扉の奥から嫁の苦しむ声が聞こえる。
こういう時待つしかできない。
壁に寄りかかり腕を組みながら耳を澄まして待つ。
10分ほどだろうか。
呼ばれて中に入ると苦しそうに息をしている嫁がいた。
「会いたかった。手を握っていて欲しい」
深夜に見ていた動画が役に立ち息を吐き頭を上げている時は頭の後ろに手をやり首が楽なように支える。
右手は強く握られたが痣ができるほどではなかった。それでも出会ってから一番強く握られた。親指が重なった右親指の付け根に2日経っても感触が残っている。
産まれた娘は最初出てきた時少し泣いただけで終始落ち着いていた。
血糖値を測るために針を足に刺した時も少し呻いただけで泣かなかった。
「地上は眩しいなぁ」
と言わんとばかりの様子。
既に大器の器か。
産み終わった嫁が「会いたかった」と告げると助産師さん「痛かったからね。頑張ったね」と労ってくれる。
もう一度「電話で声聞いてからもう会いたかった」と言うと今度は医者が「痛かったよねー。少し裂けちゃったからねー」と処置しながら言ってくれた。
その時自分も嫁も心の中でこう思ったに違いない。
「ちげぇーよっ!」と。
1文字聞き取れなかっただけで大きなコミュニケーション違いが起きるのだから、人と人とはいつだってすれ違うリスクがある。
産まれてから1時間ほど中にいられたが写真を自由に撮っていいと言われたので多少撮ってきた。







1枚は12月9日のものだ。2042gと小さな子だが、ひとまず五体満足で産まれてきてほっとしている。
14日が予定日だった。自分の休みは前後1週間を予定していたが満月と新月に生まれやすいとの情報を得て、満月に賭けて2日だけ休みを前倒しにした。
自分がかに座であり海に関係する星座で占星術でも月の満ち欠けに大きく影響し、6月生まれで誕生石が真珠。別名「月の雫」とも呼ばれるため月は意識して生きてきた。
以上の理由から6日から19日までの休みにしたが、ここまでピタリと当たるとは我ながら良い読みをしていたと思っている。
12月7日は火の要素があるらしい。私が水なのだから真逆な性格になるかもしれない。
だけど適職が芸術方面、特に作家、音楽家、美術家、演劇とこの親にしてこの子ありということにもなりそうだ。
他にも教育、法律、研究、政治、営業も向いているらしい。
せめてやりたいことができるよう自分も対話と工夫を繰り返すだけだ。
自分が死んでも生きていけるように自分が知っていることは全て教えよう。
ひとまずは一大イベントは済んだ。
安心できるかと思いきや不安要素があった。
どうも数日前から猫の鳴き声がずっとしていた。
外だろうか。1日中鳴いているから、どこから聞こえるのだろうと夜中に外も見回ったが、すぐ鳴き止むため居場所が特定できなかった。
娘が産まれる日、壁の中から声がしていた。
……壁?
侵入経路を考えるに上から入って壁の中は考えづらい。となると床下の通風口だろうかと家をぐるっと回るとあった。
若干傾いていて上の方が指2本ほど入るくらい隙間がある。
入ったはいいが出られなくなったということか。
通風口をぶち破るには多少の躊躇があった。
床下が寒くなるという理由よりも、ここら辺は狐や野良猫などがウロウロしていて、ネズミもいるため住処にされてしまっては困るからだ。
しかし2日以上も鳴き続けている。娘が産まれた日に床下で死なれては後味が悪い。
7日に一度寝た後、まだ鳴いているためコンビニに猫の餌を買いに行った。
よくわからないからカリカリタイプとウェットタイプの2種。
通風口を壊しライトで中を照らすが姿が見えない。
最初カリカリタイプのを入れて放っておき、戻って見てみると鼻をつけた跡はあるが食べていないようだ。
缶詰を開けて今度はそれも横に置いておく。
鳴き声は聞こえる。
出てこない。
どうする。
携帯を手に取り「猫が寄ってくる猫の鳴き声」という動画を流すと猫の鳴き声が大きくなり、ひょこっと真っ黒な顔と緑色の目が見えた。



すげぇーー! マジで効果抜群すぎるーー!
お腹が空いていたのか鳴きながら缶に顔を突っ込んで必死に舐めている。
全身真っ黒。思ったより小さかった。
子猫か?
警戒心が強く下手な動きをすると中へ戻る。
もう一度動画を流すと戻ってきて缶に口をつける。
少し腹の足しになったのか、中へと戻っていく。
そして床下で鳴き続ける。
缶の中身を見ると結構食べづらいことに気が付き、器に戻してほぐしてやった。
カリカリを捨てるのももったいなく軽く混ぜた。
次の日明るいところでよく見ると近視感がある。
そういやうちの庭の草むらでよく寝ている野良猫がいた。
顔が黒くて体が白い。
そいつに似ている。
可能性はある。
警戒心が強く不安なことがあるとすぐに中へ入る。そのくせ床下では足音を追ってトイレの下で鳴く。
人間の姿なのに猫の声がするというのも、さぞ不審がっただろう。
このまま床下に住み込んで長期化したらどうする。
外は既にマイナスだし越冬できるのか。
そもそも雪が降り積もったら通風口が塞がれるため死ぬしかなくなる。
いたたまれなくなってジョイフルへ猫の餌を見に行くと大量にある。
どれを選んでいいのかわからない。
そもそもあいつ子猫でいいのか。
何か月? でもほぐしたものは食べた。
なついたら飼った方がいいのか。まだ器は早い。
子猫用のウェットタイプとドライタイプの両方を2000円ほど買い、家に戻り鳴いている猫を動画音声で呼び寄せ食べきっていない残りのものを食べさせる。
12月9日、鳴き声がしない。
朝9時頃動画音声を流すが反応がない。
凍死したか、親猫が見つけたか、はたまた食われたか。
きっと親猫に見つけてもらったのだと思うようにした。
寂しかったのだろう。
出会うもの全てに警戒して餌もらってるのに逃げて足音を床下から追って鳴く。
なんだか捻じれているような姿が自分と重なった。
なんてことだ。産まれた娘よりも猫の心配をしているなんて。
猫の餌どうしよう。
あの黒白の猫も、またこの近辺で野太い声を出して鳴くかもしれない。
野良猫に餌をやると猫が増えるからいけないと聞いたことがあるが、またどこかで会うかもしれないね。
頑張って生き残ってくれ。

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12/07

Wed

2022

12月7日の夜0時半頃まだ妻が起きていたので横に寝そべるとYouTubeを見ていた。
「今ね、おさんの動画見ていて勉強していたから見て」
「おっさん?」
「おさん」
「おっさん」
「お産! おっさんの動画も見ているけど今はお産! おっさんじゃねぇよ!」
こんなくだらない会話でもゲラゲラ笑いあっている。
ひとまず落ち着いているとのことなので寝ようとfacebookで極楽鳥花の写真をまじまじと見ていたら、
「あ、なんかパチンって音した! え? うんこも出そう!」
と、妻がトイレに入ると妻から電話が。
「枕元にある白い袋の中のシート1枚持ってきて!」
破水したかもしれないと言う。そして全部出たと。
「うんこもしっこも羊水も出てきたよ!」
若干キレ気味だ。
事前に準備しておいた荷物を詰め込んだキャリーバッグとバッグを用意して産婦人科に電話。黄色いおりものが出ており破水しているので入院だと伝えられる。
「オヤジギャグで破水するなんてうちらしい。笑ったら羊水漏れてくる」
「井上?」
「井上じゃねぇよ!」
「な~つが~す~ぎ~♪」
「季節違うよ! あ、でも夏は過ぎているからあってる?」
時間は深夜2時過ぎ。
断酒の成果を今こそ発揮する時が来た。いつもは泥酔している時間だが今日はシラフフィーバーできるから運転はこの私に任せるがいい。今日の私は無敵だ!
特に極度に苦しむ様子がなく病院の玄関まで荷物を運び自分は帰ることに。
夜は眠れなかった。帰る途中にコーヒー飲んだせいだが。
帰ってきて4時過ぎに寝て朝8時近くに起きたが、2度寝は出来なさそうだ。コーヒー2本飲んせいだろう。
自分の中でソワソワしているのがわかる。カフェインのせいか出産のせいか、いやどちらもだからだろう。
眠いんだか眠くないんだかわからない。
今ならレッドブルを突っ込んでも申し分ないだろう。
促進剤を投与しているということで、今日か明日かといったところだろう。
お腹の中にいる時から気難しいので感性の強い子に育つかもしれないと同時に芸術家を目指すのであれば自分にも相当の覚悟が必要になって来るなと感じた。
この子の運命は自分を親に持ったことにより、ある程度決まっている。
少なくとも親の限界が子供の能力や未来の限界になってはいけない。
自分もまた子供によって大きく人生が変わっていくだろうことを強く感じている。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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