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あさかぜさんは見た

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05/22

Wed

2024

子供が歩いた日

日本にはゴールデンウィークなるものがあり、5月3日、4日、5日が国民の休日にあたり、この休日が日曜にあたった場合振替休日が月曜日に発生する。
そのため4月の終わりあたりから有給を使い2週間近くお休みを取る人もいる。
日本人には自由に有休を使う権利はあっても使ったら周囲から何か言われるという職場も少なからずあるので有給申請には皆慎重だ。
有給は遊びのために使うのではなく、病気や葬式等やむを得ない状況で初めて使う人もいる。
日本の法律では年に最低でも5日以上有給を使わなければいけないということになっているが、この法律ができる前は何としても使わせまいと圧力をかけてくる会社も普通にあった。
その法律ができたのも2019年なのだから、わりと最近だ。
ゴールデンウィークという名の日本人の休日には当然働く人もおり、休んで遊ぶ人あれば遊ぶ人の相手にして仕事をしている人ももちろんいる。
嫁は看護師、自分は今年中無休のコールセンターにいるものだからお互いお休みがない。
だから休日が被らないことがほとんどで一緒に休日を過ごせる時間も月に2日あればよい方だ。
自分が娘を1日見ることはなく、だいたいは嫁が1人になりたい時、夜勤の日から明けの日、最大でも半日くらいだろう。
だから娘がこんなことできた、あんなことできたと嫁から報告を受けて初めて知ることも多い。
5月3日、世間がゴールデンウィークと呼ばれるお休みの最中、1歳5か月を前にして初めて10歩歩いたと動画をもらったばかりだった。
小児麻痺を疑われていて他の子どもより反応が鈍く立つことも遅かった。
その娘が10歩も歩いただなんて、胸打たれる部分もあった。
そして少しずつは歩けるようになったが、行動範囲がいきなり広がったため、家の階段から落ちるというアクシデントが起こり、階段を嫌がるようになった。
5月22日ハンドメイドのショップが一堂に並ぶイベントがあり、その会場へ行くと娘が階段を上り出した。
家の階段は急こう配で、上から見ると45度ぐらいあるのではないかと錯覚するほどなのだが、イベント会場は緩やかな階段だった。
その階段をよじ登り、2階席の端まで行き、降りてからまた昇り今度は復路を行き、また戻り階段を降り、ということをやっていたのだが、嫁がゆっくりショップを見る時に娘と一緒になり、娘がまた1階から先ほど上った階段を上り始め、そして2階席を歩き、3往復ぐらいだろうか、かなりの長い距離を歩いていた。
途中で座り込んでも、また起き上がり歩き、ぐらついては座り込み、また立ち上がって歩いていた。
観客席側は階段なので手で遮りながら娘のコースを手で遮りながら安定させる。
夜も足が疲れているのか前のめりで倒れることはあったが、まだ立とうとする。
タフで、ガッツもある。
自分が失っているものを見せてくれる。
ちょっと待って。
5月3日で10歩歩いたと言っていたばかりなのに、5月22日には400mぐらいはいきなり歩き出しているわけ?
いきなりすぎて自分の方が戸惑っている。
その時は娘が怪我をしないように神経を配らせるぐらいが精いっぱいだったけど、夜になって冷静に考えてみて、成長がいきなりすぎてどうしようと考えてしまった。
自分は走ることもまともにできなくなってきたのに、この先娘は兎のように地面の上を飛ぶように走るのかと考えると、衰えた体がついていけるのか、体力つけないとね、と痛感した。
0歳から娘を見ていると、人間の誕生を見ているようだ。
精神や人間のことをミクロ(マクロ)コスモスというが、その言葉がしっくり来る。
人間とは何だろう。
人間は何故生きようとするのか。
人間はいかにして人間たり得るのか。
まるで人類が道具を使いだしたかのような気持ちで娘が歩く姿を心震える思いで眺めていた。

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05/13

Mon

2024

日本人は花見が好き

3月が始まり出すと南の方から桜が咲き北へ向かってくる。
北海道の札幌は4月の終わりから5月の初めまで桜が咲く。
日本人は桜を見ることが好きで宴会も桜が咲いている時にする。
花見の誘いもあったけれど、あいにく仕事でいけなかった。
とは言っても札幌に住んでいた頃は花見ができる公園が近くでピンク色の桜の花がバーベキューの煙で煙幕かというほど空気がくすぶり、その魅力を削いでいた。
私はアル中だから酒を飲むのは好きだけど、煙まみれなのは心が痛んだ。
私の住んでいる北広島という場所は札幌よりも少し寒く桜が咲くのが札幌の開花宣言より数日遅い。
庭に古い桜の樹があるが、咲くのが遅い。
周囲が咲き、散り始めてからようやく咲く。
咲くのも遅く、散るのも最後だ。
梅の木もあり、南の方は梅から咲き、次に桜が咲く。
北海道は梅も桜も同時に咲き、花びらの形もよく似ているため、よく桜と間違えていた。
古い梅の樹は随分長く頑張り去年は花も少なくなり怪しげだったが、ついに今年は咲かなかった。
完全に死んだのだろう。
それでも長く生きたのではないか。
自分が産まれる前から梅の樹はあったような記憶がある。
よく生き、そして死んだ。

5月3日。
1歳5か月を前にしてハイハイばかりしていた娘が手を持つと、よく歩いた。
銀河庭園という恵庭にある広い庭だ。
前は10歩あるいたよと嫁が動画で送ってくれていたが、10歩どころか随分長い距離を歩いた。
要領を掴んだのか、外を自力で歩こうとしていた。
疲れてへたり込み、ベビーカーに乗せようとしても嫌がり、自分で歩くことを選んだ。
しゃがみ込み、土を両手で拭くようにしていじっていて、何度かベビーカーに乗せようとして、何度目かの説得でようやく乗ってくれた。
夜も足がガクガクで頭から倒れるほどなのに立ち上がり歩こうとしていた。
努力家だ。
素晴らしい。
根性がある。
心打たれるものがあった。
2042グラムで小さく生まれたのに非常にタフだ。
困ることもある。
なかなか寝ない。
ギリギリまで起きてかまってくる。
寝相がダイナミックで非常に悪い。
縦横無尽に寝返りを打っている。
保育園では静かに寝ているらしいのに。

桜が散ると一区切りという感覚がある。
同じ時期に咲き同じ時期に散る。
日本は4月が年度初めで、会社や学校の新入りは4月からスタートを切る。
東京という地名は聞いたことがあるかもしれないが、この地域は4月1日前後に咲くため、本当の節目の象徴として桜が咲く。
桜もいつか死ぬ。
だいぶ老木だが庭の桜は毎年見事に咲く。

娘を見ていると不思議な気持ちになる。
自分は40歳を超え、生きてきたよりも生きられる時間の方が短くなってきている。
そして娘は親や周囲の色んなものを吸収して育っていっている。
成人が育つというよりもはるかに様々な可能性を持って生きている。
通り過ぎるだけで「かわいい」と他人から言われるし、人生得して産まれてきている。
娘が産まれてきた時から思っていたけれど、他の親より自分は子供と接する時間が短い。
アコーディオン奏者のピアソラの音楽に合わせて0歳から揺らして寝かしつけていたのが功を奏したのかリズム感覚は保育園の先生も絶賛するほどだ。

桜の花の命は短いが、娘の華は長く咲いているように教えていきたい。
まるで魂を伝えるようだと思った。
人間は花のように咲いては散る。
そんな概念が日本人の心には染みついているのではないかと感じた。

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04/26

Fri

2024

嫁の誕生日と結婚記念日

そもそも嫁は29で死んでいたはずだった。
霊媒師体質の実の母親から「あなたは29歳で死ぬ」と言われていたらしい。
毎年誕生日が来るわけだが、そのたびに「勝利宣言」を自分の中でしている。
「彼女の運命に勝ったぞ。この俺のおかげだ」
と。
だって自分くらいしかいないじゃないか。
彼女の運命に大きな変化を与えたのは。
29歳の時には少しドキドキしながら過ごしていたけれど30歳になってからは、ほくそ笑んだ。
勝った。
素直にそう感じた。
何か努力したわけじゃない。
日々の生活、家事、旅の提案を大事にした。
伊達から旭川まで3日で1000km以上を走破することもした。
ある冬の日「流氷見たことある? 見に行こう」と連れ出し流氷を見た日がバレンタインデーだったこともある。
その時は釧路から北広島まで帰るのに帯広でインデアンカレーを食べたのを含めて8時間くらいかかった気がする。
今日夕日絶対きれいだよ、と岩内まで言って美しい海岸線の夕日を眺めたこともある。
そういう時間達が今の「家族」というものを支える根源になっているのかもしれない。
娘が産まれてからの1年間が本当に大変だった。
そんな自分たちも結婚記念日を迎えた。
節目とも言える年になったから、さすがに何かしようかと思いホテルでランチをした。
午前は車の中でうんこの話になり「うんこの話で盛り上がって午前終わりたくない」と言ったのに、深夜に食った豚骨のインスタントラーメンが古かったせいか、午後に出す自分の屁はとても臭く、屁をするたびに嫁がひたすら仰ぐという、どうにもうちららしいというか、なんというか、他の人だったら逃げ出してるよな、ということもゲラゲラ笑いあっている。
「色んなことあったよね」
ランチが美味しくてよかったが、色んな事が本当に色々ありすぎて何か絞れず互いに深い会話もできずに終わってしまった。
その日は娘には遠慮してもらった。
2人きりの時間が娘の年齢と同じくらい設けられていなかった。
ああいうこともあった。
こういうこともあった。
本当によく一緒に居られたものだ。
この先のことはわからないけれど、
「またよろしくお願いします」
と、いつもとは違った、とても深い心情で互いに挨拶を交わした。
そこから何か自分の中で何かが変化したような気がする。
世界を感じる感覚が少し違ってきているのを感じる。

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04/26

Fri

2024

ここ三か月は地獄のようだった。
まず2月に娘が風邪を貰い、嫁がかかり、そして自分もかかったうえにこじらすという最悪の状況になり気管喘息のようになり、コールセンター勤務なものだから半月近くは休むことになり、未だに咳が残るという事態。
その時考えてはいけないことも考えてしまった。
子供のために会社を休むと会社からの評価が下がり出世や給料に響くところがほとんどで病気がちな子供やましてや障害など持っていたら、それだけで社会人としての立場がきつくなる。
そりゃ子供なんていらない方がいいという人間が増えるわけだよ。
だって自分の生活だけで給料精一杯な人が今増えているわけで、子供を育てる時間的余裕、これは体力的な余裕や精神的な余裕も含めて無くなっているため、今しか見られないわけだから、今を見ている、日々に生きる人たちは、子供に魅力を見出すことはできないわけだ。
今自分だって毎日が不安だ。
おにぎりやサンドイッチの価格を毎日見ながら悩んでいる。
まずサンドイッチは大手のコンビニでは買わなくなった。
サンドイッチの値上がりの仕方には驚いているし、おにぎりも短期間で2割以上上がった気がする。
お気に入りのオリーブオイルは900円程度で買えたのが今は1600円以上もする。
飲食店の値上がりの仕方もえげつなく、気軽には行けなくなってしまった。
自分も居たからわかるけど、以前の値段の1.5倍。
まだまだ上がると思っている。
円安を誘導して海外からの国内工場建設を誘導しているのではないかと言っていた人がいたけど、その前に下々のものは1年先の事すらわからず仕舞い。
世界は大きく変わろうとしている。
いや、変わってしまったんだ。
ウクライナに始まり、そして日本も巻き込まれる。
そんな激動の時代の中我が娘は産まれたわけだ。
特にこの子は自分や他人では表現しきれない感覚的なものに非常に優れていて、自分も彼女の才能を確信しだすに至っている。
自分の場合は生きるのに結構辛く、諦観の域まで達したけれど、この娘はその才能を育てて世に送ってやろうと思っている。
その前に自分が死ななければいいが。
生き残るためにありとあらゆる手段を使おう。
もう選んでいる場合じゃない。

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01/10

Wed

2024

見たことのない自分

「こいつ、だれだ?」
そう思うほど、写真の男は優しい目をしていた。
嫁が写した自分の写真を見て自分じゃないと思った。
お世話になった人が言った。
人の受け売りですけれどね、と。
「ゆっくり家族になっていくんですよ」

嫁も自分もようやく人の親になって1年目を越した。
自分は子供はいらない。
嫁は子供は3人欲しい。
そして1年経って自分は面白い子が我が家に産まれたものだと感じている。
嫁は子供欲しいと言いながら、つわりも大変だったのに2人目以降は考えてからにしたいと言っている。

正直客観的に見てどうしてこんなに大変なのになぜ人は子供なんて欲しがるんだろうと思っている。
自分の子は、もう不思議な言語で話し出していて復唱できるのが自分だけになっていて、その音が少しでも違うと喋るのを止めるという、非常に耳のよい子が育ちつつある。
「ぱっぱぎゅぅ」「ぷっぅぷくぷるぷるっぶぎゅぅ」
正確に復唱しないと言葉を発するのを止めてしまう。
自分が声のことで学びに行った先生にも言われたこと「君は耳がいいね」と言われたことが、そのまま娘にも引き継がれている。そうな気がするんだけど、自分は親の顔色を伺いながら生きてきたから声のトーンにも気を配らなければいけなかった。
そのせいなのか、もしくは元々備わっていたからそれができたのか。
わからんよね。専門家じゃないから。

この親にしてこの子ありきというのは、あるのかな。
どうなるかわからないのだけど、少なくとも同じ年代の子を持つママ友を数人持っていて話を聞くが、大それたことは言えないけれど、ちょいとね、ちょいとじゃなく、やっぱりうちの子、麒麟児になるかもしれないなぁと思うところがある。
いや、凡人だったら凡人で自分もほっとするんだけどね。
そうじゃないと思う欠片があるうちは、自分が生きている間は緊張感がある。
この才能は親の惰性で潰しちゃいけないと。

変わったよね。
子供なんていらないって思っていた自分がさ。

でも本当に客観的に考えてどうしてこんなに、夫婦でも滅茶苦茶喧嘩するのにどうして子供なんて欲しいと思うの?
喧嘩しないの?
子供生まれる前の仲のよい状態で子育てできているの?
子供って邪魔じゃないの?
1人の方が気楽じゃないの?
別に無理して子供作る必要なんてないよね?
このご時世支援もあるけど賃金安いしね。

なんていっぱい考えると、本当にみんな子供なんて欲しがらなくていいよって個人的には思ってしまう。
でもまぁ、うちは1人目で地球上でも特殊な子が産まれたと思うので、当家は男子が産まれなければ絶家になるため、2人目も視野に入れてこの先動こうかなとは思っておりますが、子供に家は背負わせたくないので、やんわりと言いながらも自由に生きて頂きたいとは思っております。

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プロフィール

HN:
あさかぜ(光野朝風)
年齢:
46
性別:
男性
誕生日:
1979/06/25
自己紹介:
ひかりのあさかぜ(光野朝風)と読みますが光野(こうや)とか朝風(=はやぶさ)でもよろしゅうございます。
めんどくさがりやの自称作家。落ち着きなく感情的でガラスのハートを持っておるところでございます。大変遺憾でございます。

ブログは感情のメモ帳としても使っております。よく加筆修正します。自分でも困るほどの「皮肉屋」で「天邪鬼」。つまり「曲者」です。

2011年より声劇ギルド「ZeroKelvin」主催しております。
声でのドラマを通して様々な表現方法を模索しています。
生放送などもニコニコ動画でしておりますので、ご興味のある方はぜひこちらへ。
http://com.nicovideo.jp/community/co2011708

自己プロファイリング:
かに座の性質を大きく受け継いでいるせいか基本は「防御型」人間。自己犠牲型。他人の役に立つことに最も生きがいを覚える。進む時は必ず後退時条件、及び補給線を確保する。ゆえに博打を打つことはまずない。占星術では2つの星の影響を強く受けている。芸術、特に文筆系分野に関する影響が強い。冗談か本気かわからない発言多し。気弱ゆえに大言壮語多し。不安の裏返し。広言して自らを追い詰めてやるタイプ。

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