2005年まで高額納税者ランキングが発表されていたが個人情報に関する法律が施行されてもうわからなくなっている。
2005年時点では作家のランキングは以下のとおりになる。
順位、名前、単位:万円、前年度順位
1 西村京太郎 14,887 (1)
2 片山恭一 14,209 (6)
3 村上春樹 8,690 (5)
4 養老孟司 8,649 (3)
5 浅田次郎 7,506 (7)
6 内田康夫 6,745 (2)
7 宮部みゆき 6,344 (4)
8 赤川次郎 5,895 (8)
9 江國香織 5,860 (-)
10 市川拓司 5,654 (-)
今だと誰が入ってくるだろう。
道夫秀介とか東野圭吾だろうか。
まあこういう世界というのは何千万という屍の上に成り立っているにも関わらず、上に行けば芸能人のごとく華々しいので、「自分も作家デビューして印税生活するんだ」みたいな昭和時代の名残を受けて今やただの夢物語、都市伝説、ありもしないジャパニーズドリームみたいな、限りなく可能性の低い世界に憧れを持ち、自らが屍になる人間が後を絶たない。
と、書いている本人がこういう世界を目指しているのだから、病気みたいなものですけど生粋の芸術家はみんな病にかかったまま、死ぬか生きるかの人生の博打をかけるわけです。
通常甘い考えで憧れを持ち、現状はデビューしたとしても普通に定期収入を得るほうがはるかに高額の収入を得るという現状は、周囲の多大な夢物語のおかげで、隠されているのが現状のようです。
つまり、芸人と同じなんですね。
売れている人はテレビにも出れるドラマにも出てる好き勝手やってそうに見える豪遊してそうとか、ぬるい妄想を抱きながら「私もなる」という気持ちを抱いたりするのですが実際はピン芸人のほうが当たり前だけどはるかに多くて、一ヶ月の家賃払えるかどうか、それどころか食費や光熱費の心配をし、電気止められても食べ物だけは、などという極貧生活をしているのがオチなわけです。
当然、作家も同じような事情を抱えるわけですね。
それで今回ランキングを載せたのは、ここを夢見て来る人たちには専業ではなく、あくまで兼業として作家をやれという説得のようなことを書いてみようかなと思うのです。
通常本格的に作家をやり作品を作ろうとすると専業ではなければいけません。
というのも会社休むのに「取材旅行で」なんて言って休ませてくれるところなんてないし、たとえこの日本に有給を存分に使えて、突如有給を使っても文句すら言われない天国のような企業がこのご時勢にあったとしても、有給だけじゃ消化できないこともでてくるわけです。
つまり専業にならない限り作品の幅は自分のしがらみによって狭まるということになるのです。
資料と妄想だけでできないこともないですが、私は生身の感覚を大事にするほうなので、取材抜きというか人と触れ合わない小説なんてゲッソリします。
専業作家を目指したい人は生涯書きたいテーマがハッキリしていて、次々とそのテーマに沿って作品を生み出していけるという自信、デビュー前でもジャンルがまったく違う内容で20本以上は余裕で書けるんだぞ、という具体的なプランを持っていないと、専業なんて目指しちゃいけないわけです。
ちなみに、量産型の作家になるとドンドン書かされ、次第に書くのが嫌になり、追い込まれ、精神病んでドロップアウトします。
こういう人、ライトノベルのほうではかなりいるようです。
その前に作品が売れないとどうしようもないのですが、売れたとしても量産型に走ると、ということです。
量産型で有名なのはランキングでは赤川次郎や内田康夫、西村京太郎です。
作品数をwikiで見てもらえればわかりますが、3人とも余裕で100本以上はある。
特に西村京太郎に至っては鬼の如し。
西村京太郎全集だけで重みで床に穴が開くのではないか、というぐらいある。
宮部みゆきはご存知の通り安定したヒットメーカーであり、村上春樹は現在では本を読まない人でもだいたい知っているように海外で翻訳されている作品が多い。
浅田次郎は映画化12本1年に5本のペースで書き続けている。
当然「専業作家で食っていく」っていう気合を持つなら、少なくともこの人たちよりも優れた素質を持っているという自信がなくてはやっていけないわけです。
そうでなければ途中で潰れるのがオチ。
しかもその時に手に職を持っていなければ中途半端な状態で社会に出戻り。
最悪の場合使いづらいから誰も雇ってくれない、という結末が待っている。
だから普通の人は「働きなさい」というし、きちんと仕事や専門分野を持って、なるべく食いっぱぐれないように生きていきなさいというのは、何も才能を否定しているわけではなく、通常の社会観念として当然の事を言っているだけなのです。
私も作家では食っていけないと言われるごとに自分の才能を否定されているような絶望感を持ちました。
何度も書いているかもしれませんが、100万の才能の頂点に立てるような人間ではないときつい世界なのです。
1000万の才能のトップ10というわけですね。
これが「芸の世界」だと思うわけです。
当然才能があったとしても不遇で終わることだってないわけじゃない。
もし本当に専業でやっていくのだと言うのなら「この世界を背負って心中できるか?」という覚悟を常に問うたほうが無難ではあります。
宝くじに当たったかのように運よく行く人もいますが、最初から神頼みなんてしないでください。
実力がないと続いていかないからです。
自分だってこんなところに埋もれているのに、何を偉そうなことを言ってるんだとお叱りを受けそうですが、私は、死ぬつもりでやってますよ。
本当に。
安易な夢は抱かないことにしました。
ただ執念を持ってやる、ということを改めて誓おうと思ったのです。
私は、100万の頂点に立つ。
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