ここ一週間ぐらいのことを。
22日から1泊帯広におりました。
23日にやるばんえい競馬ってやつを見に行こうと、ふと思い立ちまして、22日の夜は知人に教えてもらった豚丼屋に並びまして、食べました。
あまり並んでまで食べようと思うタイプなのではないのですが、せっかくなのだから地元民が知る豚丼おすすめスポットで堪能して来ました。
その後ホテルの中で3時間ほどメンバーのお悩み相談。
自分も家族のことで相当精神を病んでいたことがありましたが、外国と言えど似たような事情があって、当時の自分の気持ちを思い出しながら話しを聞くだけでも楽になるだろうなと思いチャットでやりとりしておりました。
なんやかんや香港台湾カナダと広がっているので、今度はヨーロッパ圏のメンバーが欲しい・・・これは蛇足でしたが。
夜は屋台村が帯広にあり北海道はここが元祖。
狭い区画に10店ぐらいの店舗があるのですが、中のスペースは8人ぐらい座れればよい方。
密着した感じがより親近感を抱かせ話も弾みます。
その道路挟んで向かい側にもプレハブのような装いの小さな店が並んだ場所がありました。
屋台村では、あまり混んでいない店で大きなゆり根を食べながら色々と地元のことを聞きました。
十勝という場所はもうブランドになっているからTPPなんぞなんのその。
逆に売り込めるじゃんって話でしたよ。
道路挟んだ場所でも一店入ったのですが、美人に中から微笑まれ、ちょいと負けまして入ったのですが、そこで酔っ払ったお客がいて、高校野球部の監督の話になった時知人なのか「俺そいつ知っているよ。あいつ大っ嫌いなんだ」と話す人がいて、その嫌いな相手の友人が偶然にも真ん中に挟まれる形となり、お客同士一人挟んで3人で談笑していたのですが、さすがに挟まれた人はよい思いをせず、苦笑するあまりでしたが、でもそのおかげでと言ってはなんですが、自分とも話す形となり、ほんの少しの時間でしたが苦笑していた方と会話することができました。
消防署の署長さんなんですって。
また帯広は六花亭というお菓子屋さんの本店がある場所。
その社長さんの名前が出てくるぐらいだから、ああ、どんなところにどんなご縁があるかわからないなとしみじみ思いました。
次の日、前日の雨とは打って変わって晴れ晴れとした天気で、ばんえい競馬を見に。
隣接している十勝村という場所で高橋涼子さんというシンガーソングライターさんと出会いました。
ビラを配っている人に「一曲だけでも聴いていってください」と言われ、そこまで必死になっているのに一曲も聞かないで行くのは、なんだかな、と思い聴いていたら結構綺麗な歌声。
最近いい歌い手さんを自分の作ったコンテンツで使わせてもらえないかなと交渉することがあるのですが、狙い目は会社の所属じゃなくてフリーで立ち回っているっていう人で、ちょうどそのような匂いがしたのもあり、最後まで聞き、CDを一枚買い、話を聞くと次の日に札幌でやるから来てくれとのこと。
ミニライブ風景も見に行けば少しは違った感覚が手に入れられるかもしれないと予定に入れ、ばんえい競馬では人生初めての競馬をやり、3レース全部おじゃん。
結構しっかりとした馬選んだつもりなのですが、馬は見かけによらず、最初小さな山、直線、大きな山、と重い重りを引いて乗り越えていくレースなのですが、その直線で止まっちゃう馬がいる。
賭け事すると変な気持ちが生まれるもので、誰かに金をかけて思いを託しちゃうと「お前なんでそこで止まってしまうんじゃい」って恨みがましい気持ちが芽生えるっていうか、外野にいて、たぶん賭ける金がでかくて、しかも懐に余裕がなくて、せせこましい生活を送っている人間ほど、無理強いをするというか、自分以外の人の気持ちを理解しないというか、そもそも己の立場を超えて理解しようとする考えが浮かばないのではないのかなと、自分の妙な気持ちを考えてみて思いました。
純粋に馬に頑張れっていうんじゃなくて、自分が儲けるために馬に頑張れっていう気持ちが大きくなっていきそうな怖さが、何か自分を後ろめたい気持ちにさせちゃうんです。
純粋に馬を応援できる人は素晴らしいなとも思います。
ですがね、さすがに競馬場ほどではないにしろ、やっぱりどこかしら見た目からうさんくさそうな人はちらほらいる。ギャンブルやる人の中には金銭における勝った負けたで興奮する人の方が断然多いのだろうなと感じました。
ばんえいはスピードがない。
早足で歩いて追いつく程度のレース。
一レース1分半少々。
そういう、競馬で抱くようなイメージとはまったく違う、力強く大地を踏みしめていくレースなので、もう少し別の切り口が必要なのではないかと感じさせた。
その後十勝村で無かん水麺を使用した牛乳ラーメン塩味を食し、卵麺と小麦麺の中間のような硬さで甘みのある新しい食感の麺に感動し、そして駅でチーズケーキのような味わいのソフトクリームを食べて札幌に帰りました。
翌日高橋涼子さんのミニライブで綺麗な歌声を堪能し、そのライブ会場で昨日ばんえい競馬の会場にいたニュージャージーから来たという人を見かけ少し話し、マスターとも少し話しこみ、すすきのへ。
最近出入りしている面白いコミュニティのバーへ行ったのですけれど、衝撃的な出会いをしました。
谷本洋さんという陶芸家の方で、さらに自分にとって幸運なのは質問者が偶然にも同席してくれて色々聞いてくれたっていうのがよかった。
自分も感性を失わずに生きてこようと思ってきたけれど、彼の感覚に比べれば浅すぎて己に噴飯するほど。
芸術家としてはサラブレッドですが、それでもよほど苦労なされたのだということは経歴からも話からもわかり、表現が明瞭。
冗長なところは一切なく、素直な質問者もいるので、意地悪な質問もしたかったけれど、答えを聞いていて何が返ってくるのかうっすらと見えて、そして人間の器としても芸術家の感性としても、まず桁が違うってことを感じさせてくれて、本当に逃げ出したい気分にもなった一日でした。
映画でアマデウスってやつがありましたけれど、モーツァルトに嫉妬するサリエリの気持ちが正直また一つわかりました。
いや、本当に、ごめんなさい、自分性格悪いものですぐ批判癖が出てくるのですが、この方はもう素晴らしい。
本当によい出会いをさせていただいたとともに、このようなことを書くのもおこがましく、またわかりきったことですが、未熟さを再認識したと同時に、自分が何を失いかけてきて、そして荒みかけているのかもよくわかりました。
私はこの方といっぱいお話したいけれど、私は口を開くよりも前に、作品をどんどん作ることの方が先なのではないかと思わされました。
さすがにモノをちゃんと作っているだけの人で、ちょっとした話にも惑わされない。きちんとその人を見ようとする。その腰の落ち着け方一つでさえ、今の自分には到底及ばない。つまり、モノづくりの一人としては、手ぬるすぎるところにいるのだということ。
だから会いたいけれど、今は話すことが何もない。
そういう人でした。
今日もまた同じ場所でお会いすることができたのですが、彼が帰った後、彼が持って来て下さってマスターにプレゼントした器でマスターのはからいで特別に飲ませていただいたのですが、最初日本酒、最後にはラム酒を注いでみました。
深い茶褐色のような、なんとも言えない色合いなのですが、中に貝殻の図があり、そこから太陽のフレアのように一回転半外の淵に向かって渦を巻いている。
乾いている時には砂のように大変味気がなく、かといって、見るものに無意味さを与えるものではないかのような、若干歪で趣のあり、手のぬくもりが入っている器だったのだけれど、手の平に納まりそうなその器は濡らすと非常に官能的で、舌を伸ばしたくなるようなほど艶めいていて、水面に浮かぶ光は器の中で乱反射していくつも浮かぶようだった。
特に琥珀色の液体を入れたとき、中にまるで土星のような迫力が浮かんだ。
「こいつは地球を越えたね」
とマスターが言ったが、まるで燃え盛る炎を見るようだった。
器の表面にまでバシバシと火花を散らし、偶発的なように見えて計算的な炎の踊りを間近で見た。
そいつを大事に飲み、そして家に帰ってきた。
その方は優しい人だった。
わざわざこんな野良犬の遠吠えにも振り向いてくれるような人なのだから。
いつか、この方と強烈なインスピレーションを交換し合えるよう、己の中にある「刃」を「血」を、もっともっと純なものへと近づけなければいけないなと勉強させていただいた。
そして高橋涼子さん。
小さな規模ではあるけれど、ちゃんとファンがついていて、そして小さな規模だけれどちゃんとやっていける。
それを見させてもらった。
これから団体を動かしていくのに、人数につきどれだけの規模を作らなければいけないのか指標ができた。
色々と勉強させていただくことが多く、収穫の多い一週間だった。
彼女が居なければ谷本さんに出会うこともなかった。
そういう偶然の連鎖が、言うなれば幸運の連鎖が、今の自分を少しずつ作り上げている。
ありがとうございます。
※後で追記。
先日またちょっとした縁でばんえいの騎手に兄貴がいるという方と話したのですけれど、「どうして馬は途中で止まるのか」「騎手はどうして後ろに引っ張るのか」という理由が判明しました。
まずペース配分しないと馬の心臓がやばくなるということと、後ろに引っ張ってペースを保つ。
そして同時に後ろに引っ張らなければ前のめりに倒れることがあるということ。
ようは馬の体を壊さないようにとの配慮も入っているのだそう。
そこがわからなければ普通の競馬に慣れている人は苛々するよね、と言っていました。
そういうのちゃんとわかっていれば、もう少し見方も変わったんだけどね。
普通の競馬と違うならばちゃんと違いを説明しないと面白みがわかりませんね。
ということで、その騎手の嫁さんがやっている店が屋台村のすぐ近くにあるということが判明したので、またちょっと尋ねる理由ができました。
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